マガジンワールド


FOOD NEWS vol. 08 犬養裕美子の今日、どこで何、食べる? 『オルタシア』のトマトのディクリネゾン。

FOOD NEWS
  • RESTAURANT _ 犬養裕美子
  • GIFT _ 真野知子
  • SWEETS _ chico
  • NEW STANDARD _ 平野紗季子
vol. 08
犬養裕美子の今日、どこで何、食べる?
『オルタシア』のトマトのディクリネゾン
ランチコース¥5,000(税込み、ほかパン代¥540)の“選べる4皿”の前菜として春から夏にかけ登場。日本各地から取り寄せた15種類の有機トマトを使用している。
ランチコース¥5,000(税込み、ほかパン代¥540)の“選べる4皿”の前菜として春から夏にかけ登場。日本各地から取り寄せた15種類の有機トマトを使用している。
 
オレンジ、黄色、そして真っ赤。形や色は違うけれど、この一皿はトマトだけでできている。毎年、初夏を迎える頃になると『オルタシア』の古賀哲司シェフの頭の中はトマトでいっぱい。「もう4〜5年作っているけど、毎年、少しずつ変えるのが楽しみ」。北海道から鹿児島まで旬をむかえたトマトから15種類を選び、それぞれ違う調理法で魔法をかける。「今のトマトは糖度13度もあって果物並み。僕らが子供の頃は酸っぱくて、香りは青くさかった」。酸いも甘いも同じトマト。その違いを楽しむために、あの手この手を尽くすのだ。
 
マリネ(オリーブオイルとハーブで和えて一晩おく)、ムース(泡立てた生クリームと和える)、
ジュレ(トマトの果汁を搾りゼラチンでぷるるんと固める)、アイスパウダー(液体窒素でサラサラの粉末に)、エスプーマ(ゼラチンを加えて冷やし、泡状に絞る)。今年は燻製(燻して香りをつける)も加わった。口に運ぶと、香ばしい燻香がフッと風のように漂い、トマトの酸味がよりさわやかに感じられる。トマトは何もしなくても美味しい完成度の高い野菜だ。料理をするなら、それより美味しくなければ作る意味はない。この一皿から、どれだけトマトの〝記憶〞が味わえるだろうか?

いぬかい・ゆみこ/レストランジャーナリスト。東京を中心に、国内外の食文化、レストラン事情をレポート。
 
オルタシアオルタシア
東京都港区麻布十番3-6-2 NS麻布十番ビルB1
☎03・5419・8455 
12:00~13:30(LO)、18:00~22:00(LO)
水曜休


写真・清水奈緒 取材、文・犬養裕美子