マガジンワールド


FOOD NEWS vol.23平野紗季子のMY STANDARD GOURMET 『KAISO(カイソ)』のピーナッツパン。

FOOD NEWS
  • RESTAURANT _ 犬養裕美子
  • GIFT _ 真野知子
  • SWEETS _ chico
  • NEW STANDARD _ 平野紗季子
vol.23
平野紗季子のMY STANDARD GOURMET
『KAISO(カイソ)』のピーナッツパン
ピーナッツパン¥300 ラムネ¥320(9月いっぱいの販売)。パン屋さんなんだけど、パン屋さんだけでもない。この店で顎を鍛えて大人になれる近所の小学生、羨ましいな……。
ピーナッツパン¥300 ラムネ¥320(9月いっぱいの販売)。パン屋さんなんだけど、パン屋さんだけでもない。この店で顎を鍛えて大人になれる近所の小学生、羨ましいな……。
 
下北沢のパン屋さん『KAISO』の引き戸は、どうしてもガラガラ開けたくなる。
 
かわいいペイントの看板がぶらさがって、店のナオコさんがおはようって言ってくれて、近所の小学生がミスター味っ子を熟読している空間の真ん中に、山脈みたいにどっしりした硬派なパンたち。「食パンとフランスパンがうまければそれでいい」「ぱっとわかりやすいんじゃなくって、5口目ぐらいにじわじわくる美味しさが理想だから」。店主の鈴木さんの哲学で生まれるパンは、どれも噛み締めるほどにうまいもの。焼きたてのフランスパンなんて、ざくりと香ばしく弾けたが最後、むっちりとした食感に小麦の甘さと塩気の掛け合いで気が遠くなる。これさえあればなにもいらない?
 
そんな核心をつく本気パンに囲まれてキラキラ輝くピーナッツパン。出合えたらラッキーの人気者。思ったよりも固い(からうまい)丸パンにかじりつくと、じゃりじゃり甘い手作りピーナッツクリームがたっぷり。「カステラだって、揚げパンだって、みんなジャリジャリ大好きでしょ」。手塩にかければごちそうになるピーナッツパンの相棒は、夏が過ぎても青いラムネで。食べ合わせのことはよくわからないけれど、これはどうしたって最高の組み合わせなのだ。

ひらの・さきこ 1991年生まれ。食ブロガー。著書に『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。
 
KAISOKAISO
東京都世田谷区代沢5-6-15 
☎非公開 11:00~19:00 不定休 
各種パンのほか、サンドイッチやスイーツの販売も。


写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子