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第11回大賞受賞 『なれない』村崎 えん

坊っちゃん文学賞

第11回大賞受賞 『なれない』
 村崎 えん

就職活動に翻弄されながら、大人と子どもの気持ちの狭間で揺れる。社会に相対し、大人になろうとすればするほど見失いそうになる自分を見つめた作品。「第11回坊っちゃん文学賞」大賞受賞作。電子書籍として2011年11月に刊行。

 第11回大賞受賞(同時受賞)  「なれない」  村崎えん(むらさきえん)
村崎 えん
むらさき えん

受賞の言葉

村崎 えん

このたびは、『なれない』に素晴らしい賞を与えてくださり、本当にありがとうございます。松山市および審査員の皆様に心から感謝いたします。

この作品の主人公は、就職活動中の女子大生です。私自身は、大学三年生の秋から就職活動をはじめました。右も左もわからず、たくさん恥をかいた一年間でした。しかし同時に、今まで生きてきた中で、これほどまでに自分と向き合った一年間がなかったことも事実です。そういう毎日の中で生まれた心の浮き沈みを、ぶつけるように書くことで自分を元気付け、バランスをとってきました。そんなふうに出来たこの作品を評価していただけたこと、とてもありがたく感じています。

私と同世代の、就職活動をしている人やした人に読んでいただきたいという思いはあります。しかし、就活生の数だけその想いや目標があります。なので、共感してもらいたいとは思っていません。ただ、心が泣き出しそうなときに、友人と愚痴を言い合うような感覚で読んでもらえたら嬉しいな、そんなふうに思っています。
また今後も、周りで起こる全てのことから何かを受け取り、きちんと感謝し、私なりの言葉で書いていくことを続けていきたいと思っています。

最後に、今の私を支えてくれている友人、大学の先生、そして家族に、心からの感謝を込めて。本当にありがとうございました。


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坊っちゃん文学賞の電子書籍シリーズ
夏目漱石の代表作『坊っちゃん』の舞台として知られる松山市が、市制100周年の1989年に創設したのが「坊っちゃん文学賞」。新しい青春文学の誕生と、フレッシュな才能に期待したこの賞は、これまでに13回が開催され、多くの作品が世に送り出されてきました。今回、この「坊っちゃん文学賞」大賞作品が電子書籍化されました。第1回の大賞作品から最新作まで、多くの作品がお読みいただけます。