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第11回大賞受賞 『右手左手、左手右手』ふじくわ 綾

坊っちゃん文学賞

第11回大賞受賞 『右手左手、左手右手』
 ふじくわ 綾

定時制高校で始まる新しい人間関係と学校生活。思いがけず見つけた懐かしい顔。青春期の不器用な生き方を描いた作品。「第11回坊っちゃん文学賞」大賞受賞作。電子書籍として2011年11月に刊行。

 第11回大賞受賞(同時受賞) 「右手左手、左手右手」 ふじくわ綾(ふじくわあや)
ふじくわ 綾
ふじくわあや

受賞の言葉

ふじくわ 綾

十月に入ってすぐ、最終選考の八名に残ったと知らせを受けました。『右手左手、左手右手』と題名を耳にした時は、自分の作品を読んで評価してくれた人がいたんだという事実に飛び上がるほどの喜びを感じました。 八名に残れたことでもう十分。この際、大賞・佳作のことは考えず、授賞式の出席は思い切り松山観光を楽しもう。そう思い、前日は四国の情報雑誌を手に坊っちゃん列車に乗り、松山城へ登り、道後温泉にゆっくりとつかりました。あぁ、これで満足満足。となるはずが、もし佳作に選ばれたら、もしも大賞をいただけたら…と夢物語が膨らみ、夜はなかなか寝付けませんでした。

受賞式当日、大賞発表で椎名誠さんに名前を呼んでいただいた時は嬉しくて堪らずに舞い上がってしまいました。その後皆さんに何を聞かれ、自分が強張った顔でどう答えたか、はっきりと覚えていません。

その上、毎号欠かさずに愛読している『クウネル』に掲載してもらえるとは。興奮は当分冷めそうにありません。子供の頃から空想に耽るのが好きだった私が物語を書き始め、それが認められたことは自分への大きな励ましとなりました。語彙も表現力もまだまだ乏しい私ですが、今後も多くのものを見、聞き、学び、感じ、物語を書いていこうと思います。


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坊っちゃん文学賞の電子書籍シリーズ
夏目漱石の代表作『坊っちゃん』の舞台として知られる松山市が、市制100周年の1989年に創設したのが「坊っちゃん文学賞」。新しい青春文学の誕生と、フレッシュな才能に期待したこの賞は、これまでに13回が開催され、多くの作品が世に送り出されてきました。今回、この「坊っちゃん文学賞」大賞作品が電子書籍化されました。第1回の大賞作品から最新作まで、多くの作品がお読みいただけます。