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第12回大賞受賞・真枝 志保 『桃と灰色』 真枝 志保

坊っちゃん文学賞

第12回大賞受賞・真枝 志保 『桃と灰色』
 真枝 志保

一人暮らしを始めた女子大生、いきなり「物干し竿」がないことに気付き、戸惑ってしまう。一体どうすればいいのか。いまどきの女子のぎこちない生活を描いた作品。「第12回坊っちゃん文学賞」大賞受賞作。電子書籍として2012年1月に刊行。

 第12回大賞受賞 「桃と灰色」 真枝志保

真枝 志保

受賞の言葉

真枝 志保

高校生の頃、受験勉強の合間に、大学生になった暁にはこんなことやあんなことが起こるかもしれない、という夢を描いたことがある人は多いのではないでしょうか?しかし、たいていの人が何も起こらない大学生活を送って卒業していったのではないかと思います。

この話に出てくる大学生の女子もめくるめくような素敵なキャンパスライフなど送っていません。彼女は人付き合いをほとんどせず、通っている大学周辺からめったに出ることもない毎日を過ごしています。しかし、冬のある日に、近所のバス停に立っている同じアパートの住民を見かけたことによって、いつもの行動範囲に変化が訪れます。と言うと何か劇的なことが起こるのではないか、と思われそうですが、やはりこの変化も地味なものです。

今まで自分の部屋でひっそりと机に向かって書いていましたが、賞を頂いたことによって、私の書いたものが多くの人に読んでもらえる可能性が生まれました。この変化は大きなものでした。これからも書き続けてもよろしい、と認めてもらえたような気がします。何もなかったように思えた日々は、けっして戻ってくることはありません。私はそんな日々のことを書いて残していきたいのです。松山市の皆様、審査員の皆様、そしてこれから読んで下さる皆様に深く感謝を申し上げます。


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坊っちゃん文学賞の電子書籍シリーズ
夏目漱石の代表作『坊っちゃん』の舞台として知られる松山市が、市制100周年の1989年に創設したのが「坊っちゃん文学賞」。新しい青春文学の誕生と、フレッシュな才能に期待したこの賞は、これまでに13回が開催され、多くの作品が世に送り出されてきました。今回、この「坊っちゃん文学賞」大賞作品が電子書籍化されました。第1回の大賞作品から最新作まで、多くの作品がお読みいただけます。