マガジンワールド | ブルータス - BRUTUS | 644
No.644 CONTENTS
features
| 018 |
博物館♥ラブ |
| 022 |
博物館と美術館の枠を超える、東大が試みる新しい展示風景。 |
| 028 |
これを読めば、博物館のことが丸分かり。 |
| 030 |
東京国立博物館、進化論。 |
| 034 |
世紀の大改修を終えた、国立科学博物館の実力。 |
| 040 |
入場者数130万人突破! 鉄博の魅力は何ですか? |
| 044 |
縄文のアイドルに会いたい。 |
| 048 |
博物館が目指すべきは旭山動物園なのです。 |
| 052 |
博物館Q&A |
| 054 |
博物館ラバーズ。 |
| 068 |
オッス! トン子ちゃん みんぱくへ行く! 画/タナカカツキ |
| 074 |
荒俣宏が巡る紀伊半島・博物館の旅。 文/荒俣 宏 |
| 080 |
あの博物館、この逸品。 |
| 086 |
BRUTUS Select 絶対行くべき日本の博物館25。 |
| 098 |
第2特集
続 COOL WATCH?
2008新作ウォッチカタログ ジュネーヴ編 |
regulars
| 009 |
EYE OF THE B
「ローレン・コンラッド」ほか |
| 059 |
Brutus Best Bets
新製品、ニューオープン情報 |
| 110 |
人間関係 363
写真/篠山紀信『父の重さ』山本“KID”徳郁、山本郁榮 |
| 113 |
Steel Deep Beauty 120
Lamborghini Gallardo LP560-4 |
| 115 |
MIX & MASH
「アルベルト・アレッシ」ほか |
| 124 |
BRUT@STYLE 193 Triceratops |
| 128 |
グルマン温故知新 275 びのむ/割烹 露地なかじま |
| 130 |
みやげもん 049 ぬけ/次号予告 |
| 064 |
定期購読募集 |
| 107 |
BRUTUS BACK ISSUES |
25×8メートルのスペースをHOゲージ(Nゲージより大きい)の模型電車が走り回る。20分のナレーション付き。昼夜あり。 |
博物館には人をトリコにする
新鮮な驚きが待っている。
取材で訪れた博物館には、魅力的な「ブツ」が満ちあふれていました。仕事抜き(?)でトリコにされた展示物をいくつか。
まずは、鉄道博物館の25×8メートルの特大の模型鉄道ジオラマ。Nゲージを始めたくなるほど鉄分がグイグイあがりました。国立民族学博物館のエスニックなお面たち。素朴で怖い。じっと見てると呪われそうですが、ついじっと見入ってしまう。日本科学未来館のロボットたち。人型には弱いんだよなあ。ミュージアムショップでアシモの模型を購入。帰り道、ついガンプラも購入。ミュージアムパーク茨城県自然博物館で見たカナダ産アルバータ州産のアンモライト。虹色に輝く、宝石扱いのアンモナイトなんですが、キラキラじゃなくてギラギラ輝くその様は見てて全然飽きないのです。
キリがないのでこのへんで止めておきますが、今年の夏休みは好奇心をかき立てる博物館めぐりがオススメです。以前、訪ねたことがある博物館も、内部の展示物はガラリと変っていたりしますので、近場でも旅先でも、博物館があったらぜひ立ち寄ってみてください。何かしら新鮮な驚きが待ってますから。
●黒岩広義(本誌担当編集)
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研究室の西野教授。棚には世界中で集めた古今東西の逸品が並ぶ。インディ・ジョーンズの部屋も、きっとこんな感じだろう。 |
新しい展示風景は
博物館からは生まれない。
暗い、汚い、古臭い(におい)。そんな博物館のイメージを覆してくれたのが東京大学総合研究博物館でした。そこで型破りな企画を次々と仕掛けているのが、巻頭で取材した西野嘉章教授。
6月まで行われていた『鳥のビオソフィア』展では、まず入り口でブランクーシの彫刻『空間の鳥』が出迎えてくれます。奥に入っていくと、どこかの探検家、または好事家の書斎のような部屋が。そこにあるアンティークチェストの引き出しには、鳥の剥製が青菜の束のように並び、また別の二羽の鳥は、卵型のスポットライトに照らされ、その影を、ふ化を待つ卵の鳥のように変容させる……云々。
そもそもこの特集のキッカケを作ったのもこの西野教授が手がけた一冊の本との出会いでした。東大のいたるところに廃棄されていた古い標本や数理模型の類を西野教授が集めてまわり、博物館に収蔵。それを写真家・上田義彦氏が静謐な光で写し出した作品集。これは博物館でも企画展として06年に開催されました。わずかに青みがかった暗闇の中に、光りを帯びて浮かび上がるオブジェ群。これらはデータとしての学術的価値は既に失われおり、言ってしまえばゴミ同然のもの。そこに西野教授が新たな価値を見いだし、上田氏が磨き上げる。試験管のカツオノエボシ(クラゲの一種)や牛の解剖模型は、どこかダミアン・ハーストの作品を想起させます。まさにアートな博物館。
こうなると、いわゆる美術館と博物館の境界線はかなりあいまいになってきますが、新しい博物館とはそこにヒントがあるのかもしれません。西野研究室を訪れたとき、最初に言われたのは「博物館の特集で僕のところに来るのは大きな間違い」というひと言。西野教授は博物館と美術館とをわけて考えているうちは新しい展示風景は生まれないと言います。確かに海外では博物館と美術館はどちらもミュージアム。なぜ、日本だけが博物館と美術館をわけるのか。それは本誌を読んで頂けるとわかります。まずは実際に東京大学総合研究博物館、または小石
川の分館に足を運んでみてはどうでしょうか。きっと博物館のイメージが変わります。また、そこの収蔵品の入ったケースにも注目です。それらも、実は一人の目利きがゴミの中から拾ってきたのだと聞いたら、なんだか愛おしくなりません?
●町田雄二(本誌担当編集)
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出土した土器や帯金具は文化財保護法に基づき、お国のモノに。記念にパネル作って飾りました。ここも、小さな博物館なわけ。 |
毎晩、竪穴式住居の上で眠ると、
博物館が身近になります。
東京都北区にある飛鳥山博物館には、周辺から発掘された貝塚の記録や、土器などが展示されています。実はここには僕の家からの発掘品も収蔵されています。僕の自宅は、竪穴式住居の上に建っているんです。
10年ほど前、建て替えのため、自宅を更地にしたところ、奈良時代の器、土師器(はじき)と須恵器(すえき)がざっくざく。3か月にわたる発掘調査で、竪穴式住居7つ、竈が原型のまま発見された上に、焼け落ちた住居跡から鉸具(かこ)まで出てきました。鉸具は高貴な役人が身につける帯金具です。
「自分で発見してたら億万長者ですかね?」「焼け落ちた家にベルトのバックル。僕は、お役人が浮気の最中にパンツ一丁で逃げ出した説を論文にしたい」発掘を見学しながら、担当の学者といろんな話ができました。
博物館は僕らの足もとにあります。刺激的な毎日も楽しいのですが、過去が語ることに耳を傾けるのは、ひとつながりの自分たちのことを考える時間でもあります。
僕は今日も、竪穴式住居の上で眠りながら、あの時代のことを夢見ます。パンツ一丁で逃げ出した役人のことを(笑)。
●西田善太(ブルータス編集長)
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