マガジンワールド


From Editors No. 760 フロム エディターズ

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東博の平常展(総合文化展)をナメんなよ!?

国宝ミーハーなので、東博にある国宝全138件(寄託品を含む)の鑑賞チェックリストも作ってみました。でも、予想以上に校正が大変で、自分ではもう二度と見たくないほど(笑)。鑑賞のお伴にしてあげてください。

日本人の美術展好きは、世界的に見てもかなり高いレベルにあるそうです。話題の展覧会になると、来館者数ウン十万人。ひとつの目玉作品を観るために長蛇の列なんていう風景は、けっこうよくありますよね。

ただこれは、期間限定の特別展の話。いつ行っても観られる平常展は、週末でもゆっくり観られて、“穴場”的なことになってたりもして…。それは、日本の美術館を代表する東京国立博物館でも同じことが言えます。実際、東博で開催される特別展には行ったことがあっても、平常展は観たことがないという人も多いのでは?

しかし、収蔵件数11万超、国宝重文オンパレードの東博の真髄を味わえるのは、やはり平常展なのです。今回の特集「日本美術総まとめ」は、縄文から現代まで、日本美術を通史でひとつかみにするというテーマの裏に、東博平常展を再評価!の気持ちを潜ませています。なので、誌面で通史を俯瞰する掲載作品はすべて東博所蔵品。本誌を読んで予習が終わったら、「東博に行けば、ぜんぶわかる!」を合言葉に、ぜひ上野に足を運んで、そのスペクタクルを体感してもらえればと思います。

●中西 剛(本誌担当編集)


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「日本美術総まとめ」の表紙ができるまで。

スケッチ段階でもイケメンの永徳。絵の具を引っ掛けられた弟子の顔が山口さんの自画像だといいなあ、と思ってました。

表紙をどうするかは毎回悩みどころですが、今回は現代美術作家の山口晃さんに登場いただきました。打ち合わせでこちらの要望やイメージをお話していくと、山口さんは「ふんふん」と頷きながら手元の白い紙(A4コピー用紙)にどんどん鉛筆を走らせていきます。「東京国立博物館の所蔵品を画中画で。もちろん描いてる絵師も」「《松林図屏風》はモノクロで地味だからやめましょう。金碧金碧」「となると狩野永徳の《檜図屏風》かなあ」。……まったく勝手放題の編集者(自分)です。

この時は延々大河ドラマ風に狩野派サーガを話し続けてしまったので、13代将軍足利義輝に謁見する狩野元信とその孫永徳とか、永徳のお絵描きを見守る祖父元信とか、レアな場面もたくさん描いていただきましたが、ご覧のとおり、最初に「こんな感じ?」と一気に描いた永徳×《檜図屏風》の絵がほぼそのまま表紙になりました。

本来、永徳がその死の数か月前に描いた絵なので、「過労永徳」状態だったはず。がしかし、表紙ではクワッと目を見開いて筆を一閃(弟子の顔面にスプラッシュ!)、舞台で見得を切る歌舞伎役者のようなイケメン永徳になりました。

● 橋本麻里(本誌担当編集・ライター)