マガジンワールド


From Editors No. 766 フロム エディターズ

From Editors 1

あなたにとってのラブソングは何ですか?

堀井憲一郎さんの文春での連載をまとめた近著『ホリイのずんずん調査 かつて誰も調べなかった100の謎』には、現在のシンデレラ・エクスプレスをめぐるカップルの動向が調査されていて、とてもおもしろかったです。ぜひご一読を。

私の中のラブソングといえば、まずは、JR東海「シンデレラ・エクスプレス」のCMでかかっていた、松任谷由実「シンデレラ・エクスプレス」です。

「神様、2人に、距離に負けない力をください」。東京と大阪で離ればなれに暮らす恋人たち。金曜の夜に東京にやってきて、日曜の夜に大阪へと帰っていく、たった「48時間しかない2人だけの時間」。東京駅で最終の新幹線に乗り込む彼と、それを涙で送る彼女たち。当時、新大阪行きの最終便を「シンデレラ・エクスプレス」と呼んでいた、というか呼ばせようとしていた。

最後の瞬間にかける言葉も見つからず、ただ見つめあうだけの二人。やがて出発の時間をむかえ、ドアが閉まるそのとき、彼女は何かを言おうとする。閉まったドアの四角いフレームの窓からだけ、彼女が見えている。半分諦めたような泣き笑いの表情を浮かべる彼女を見つめながら、ゆっくりと動き出す新幹線。窓の外では手を振る彼女が、笑顔で何かを語りかけながらホームを並走している。徐々にスピードを上げていく列車がまた二人を離ればなれにしていく。

そんなストーリーですが、これは一連のJR東海のエクスプレスシリーズCMのうち92年のバージョンです。途中「クリスマス・エクスプレス」となり、まだデビューしたての深津絵里や牧瀬里穂などが出演。CMタイアップ曲はユーミンから、山下達郎が自他共に認める代表曲「クリスマス・イブ」へと変わっていきますが、個人的には横山めぐみの沈黙の演技が素晴らしい、シリーズ最後のこのバージョンが最高です。

もうひとつが前後しますが、80年代前半にやっていたサントリー“CANビール”のCMで流れていた松田聖子の「Sweet Memories」です。ペンギンがキャラクターのアニメCMで、ジャズバーで歌う女性シンガー(ペンギン)の曲を、男性客(ペンギン)がCANビールを飲みながら聴いているうちに、小さくつぶらな瞳からポロリ涙が落ちる、というアレです。

以上、この2曲は夜中にうっかり動画サイトで観てしまうと何度もループ、何時間も見続けてしまう自分史上最高CMラブソングスなのですが、今回この2つのCMラブソングのページを大々的に作りたいと発表ところ、スタッフに「え? そのページ必要?」とあっさり否定されました。おいおい、本気かよ? みんな好きでしょ……。 好きな曲、特にラブソングにはそれぞれに愛やこだわりがあるものです。あなたの定番ラブソングは何ですか?

●町田雄二(本誌担当編集)


From Editors 2

ラブソングに呼び起こされる記憶と共に。

本誌センターのブック・イン・ブックは、ミュージシャンやタレントなど31人に、カラオケで歌う鉄板ラブソングリストを聞く「KARAOKE LOVE SONG BOOK」企画。それぞれの想いが込められた曲目に、共感度大。あー、生で聴いてみたい!

特集の表紙を眺めていて、ふと思い出したことがあります(思い出さなくていいのに)。
じつは私も1曲、ラブソングを“作った”ことがありました。高校時代、友人がギター片手に作った曲に歌詞を合わせて…。タイトルは「セカンドラブ」。四国の山奥の男子校に通い、まだまともに女子とつきあったこともなかった自分が、なんのセカンドかと。録音してラジオ局に送りつける暴挙まで。もー、舌噛みたいっ。

そういえば、青春がカセットテープ世代の私は、TSUTAYAでシングルCD(細長いジャケットのやつ)を借りてきては、近い将来出会うと信じていた恋人のために、せっせとオムニバスラブソング集を作ったりもしてましたね。オリジナルのタイトルをつけて、背表紙にレタリング。「Can’t Help Falling In Love」とか。もー、もんどりうって吐きますっ。

でもって、大学時代はオールディーズのライブハウスでウェイターのアルバイトを(バイト仲間で楽器ができないのは私だけ)。ボーイズ・タウン・ギャング「君の瞳に恋してる」を歌うバンドのボーカルのお姉さんに淡い恋心を抱いて、踊りの振りで指を指される方向にこっそり移動してはニヤニヤしていたり…。

あー、思い出が止まらない! そんな(?)甘酸っぱい(?)気持ちを込めたというと、今号を読んでもらえなくなりそうですが、ラブソングには人それぞれの思い出がセットになっていることも確かでしょう。きっと、特集に出てくる曲名や歌詞に呼び起こされる記憶と気持ちにじんわりできるはず。皆さん現実の仕事や生活にお忙しいでしょうが、そんな生温かい感情に浸るのも、たまには悪くないです。

やっぱり、私たちにはラブソングが必要なのです! (とりあえずカラオケ行ってこよっと)。

●中西 剛(本誌担当編集)


From Editors 3

ラブソング、聞きたい、歌いたい、弾き語りたい!

Tarzan編集部より異動し、今夏よりBRUTUS編集部に加わることになりました。男所帯の編集部にひとりやって参りまして、「職場に茶の間を持ち込むな」と諌められながら、女子特有(?)のオチなしトークを日々エンドレスに繰り広げております。

さて、名刺代わりの担当デビュー号となったのは「ラブソング」特集。76世代のワタシ、姉や年長の従兄弟に囲まれて育ったため、ちょっとおませな娘時代を過ごしました。はるか遠い記憶をたどってみれば、ピンクレディの解散コンサート(当時4才)も、アイドル全盛時の歌番組のドタバタ中継劇も、映像が割と鮮明に蘇るほど、幅広い世代の歌謡曲に精通していると自負しております。ここに来て、文字通りのお茶の間で幼少時より培った知識をフル活用できる日が訪れようとは……(感涙)。

いろんな曲の歌詞を読んでいると「あれ? どんな曲だっけ?」と、聞きたい、買いたい欲が掻き立てられますよね。読者の方がそんな風に感じられる1冊にしたいよねって感じで始まった今回の特集。作るにあたって集めた資料の中に、懐かしい「歌本」がありました。みんなが下敷きに好きなアイドルの切り抜きを入れていた時代、アイドル誌の付録についてた、アレです。ヒットソングの歌詞、時には譜面も載っている。ビデオもyoutubeもない時代、歌本は、歌番組を見ながらアイドルと一緒に歌いたいティーンのテキストでした。歌われるラブストーリーを読み解き、恋愛のイロハを学んだ方も多いことでしょう。

この歌本を見てて発見したのが、歌詞の脇にそっとついてるギターコード。「え、これギターのコードを覚えれば、ヒットソングをセルフで歌えるってこと?」一億総カラオケ時代ですから、カラオケで愛をささやく方も多いかもしれませんが、なんとなく、ギターで歌えたらスペシャル感ありませんか? 私も来るべき「愛弾き語りデー」のために、ギター練習してみようかなぁ、と、「聞きたい」「歌いたい」のみならず「弾き語りたい」欲にかられてしまいました。X デー暁に歌いたい曲?……「CHE.R.RY」ですかねぇ(照)。

あ、最近の曲だから載ってない。。。(とはいえ2007年)。

というわけで、歌本の復活を切に願う今日このごろです。

こんなワタシですが、どうぞよろしくお願いします。

●草野裕紀子(本誌担当編集)