マガジンワールド

From Editors No. 805 フロム エディターズ

From Editors 1

行けるのか、行けないのか。
未知数だらけのキューバ取材。

キューバと聞いて、思い浮かべるものはなんだろう? 社会主義国家、チェ・ゲバラやカストロ兄弟といった指導者、野球やバレーボール、葉巻やラム酒、なんといってもブエナビスタソシアルクラブ。あとはTVのドキュメンタリー番組で、医療と教育に手厚い国という知識も仕入れてはいた。自分の認識はその程度だったが、アメリカとキューバが国交正常化に向かい動き始めたニュースをちらほら目にする度に、頭の中は次第にキューバ一色に絞り込まれていった。

インターネットのインフラは整っていない。物資も少ない。社会主義国家なので、店や学校を取材する場合は事前に国の許可が必要になってくる…。ちなみに、取材で現地入りする場合はプレス申請が必要で、なんと在日キューバ共和国大使館での面接も義務づけられている。行ったこともないのに、いつ、どこ で、誰に会って、どんな取材をするか喋らなければならないのだ。申請から21日間かかるVISAなど、乗り越えるべき壁がたくさんあった。とりあえず 現地コーディネーターにお願いし、手探りで取材先を決めていくことにした。

かつてアシッド・ジャズやトーキン・ラウドで一世を風靡したDJのジャイルス・ピーターソンが、いまキューバにハマっている。それは、アーカイブを 発掘する喜びではなく、日々新しい才能との出会いや、新しい発見に感動があるからだという。それは今回特集した「太陽の音楽」(ワールドミュージック) 全般に言えることかもしれない。

話は戻ってキューバ取材。大使館の全面協力でVISAは早めに発給されたものの、スケジュールは大幅に後倒しに。なんと、私自身のキューバ行きを断念せざるを得なくなる。。。嗚呼、憧れのキューバ! すべてを託した取材班がやる気十分で旅立つも、いきなり成田から電話。「飛行機が遅れてハバナ行きに乗り継げない、カナダで1泊です」といきなりのスタックである。現地取材は実質2日間。できるのか、できないのか! それでも、コーディネーターが大臣に直談判(!)するなど素晴らしいアシストがあり、半分諦めていた音楽学校の取材も実現。大幅な予定変更のなか素晴らしい取材となった。ますます、この目で確かめたくなったのは言うまでもない。

 
●鮎川隆史(本誌担当編集)
意外と苦労したのが太陽の下での撮影。日中はとにかく暑いキューバ。人々は外が涼しくなる22時くらいから街や海沿いに繰り出し、思い思いの時間を楽しむのだそう。
意外と苦労したのが太陽の下での撮影。日中はとにかく暑いキューバ。人々は外が涼しくなる22時くらいから街や海沿いに繰り出し、思い思いの時間を楽しむのだそう。



From Editors 2

深夜、大いに血が騒ぐ。
されど仕事は進まず。

28人の音楽好きたちに「血が騒ぐ音楽」をテーマに話を聞きました。今回に限ったことではないのですが、時間に余裕を持たせて取材をスタートさせたにも関わらず、締め切り間際にはドタバタ劇を繰り広げることに……。「血が騒ぐ」どころか、終盤戦は連日“胸騒ぎ”ばかり。

昼間に取材を終わらせ、夜はライター陣からの原稿を待ちます。何もせずに待つのも何なので、既に手元にある「血が騒ぐ音楽」リストの中から数曲を選んでYouTubeなどで聞いて待つことにしました。『渚のはいから人魚』ね……この季節にぴったりだ。ズキンドキンしちゃうよなぁ。オリジナル・ラブの『接吻』もスローなテンポなのにアガるわぁ。ミュージシャンの坂本慎太郎さんはStephanie Millsの『What Cha Gonna Do With My Lovin’』! 良いセレクト! ……こんなことを深夜の編集部で延々と続けていると、眠気はどこかに行き失せて、確かに血が騒いでる自分に気がつくのです。

しかし、ひとつだけ問題が。疲労感や眠気が消失するのと同時に、著しく労働意欲も落ちるのです。音楽を流しながら作業できればよいのですが、色々な意味で“強い”音楽が多いので、どうしても聞き入ってしまいます。そして、PCのキーボードを打つ手は、仕事に関するテキストではなく、次に聞く作品のタイトルのために使われることになるのです。こうしてタイムリミットギリギリの状況はさらに追い込まれていったのでした。

28人が選んだ音楽は、血が騒ぐことに関しては効果覿面です。でも、どうか急ぎの仕事を前にしたときには聞きませんよう。血沸き肉踊り過ぎて、仕事が手につきませんよ。

 
●阿部太一(本誌担当編集)
深夜の音楽数珠つなぎでも十分盛り上がったのですが、今回の取材で最もアガッたのは撮影のために特別に3曲を披露してくれた「妄想キャリブレーション」のステージ。アイドルビギナーの私が、気づけば指でリズムをとってました。
深夜の音楽数珠つなぎでも十分盛り上がったのですが、今回の取材で最もアガッたのは撮影のために特別に3曲を披露してくれた「妄想キャリブレーション」のステージ。アイドルビギナーの私が、気づけば指でリズムをとってました。


 
ブルータス No. 805

太陽の音楽

650円 — 2015.07.15
試し読み購入定期購読 (20%OFF)
ブルータス No. 805 —『太陽の音楽』

紙版

定期購読/バックナンバー

詳しい購入方法は、各書店のサイトにてご確認ください。書店によって、この本を扱っていない場合があります。ご了承ください。