マガジンワールド

From Editors No. 810 フロム エディターズ

From Editors 1

日本ワインに表れる“テロワール”って?

日本ワインとは、日本国内で栽培されたブドウを使い、国内で醸造されたワインのこと。今年だけで約15の新しいワイナリーが誕生しています。増えているのが自分たちでブドウ栽培から行う造り手。この特集の主役は、そんな日本の“テロワール”(気候風土)を表すワインと、造り手のみなさんです。

特集の巻頭では、3人の実力派ソムリエが計50本のワインを試飲、「世界に挑戦できる日本ワイン」を決定してもらいました。「世界に挑戦できる」とは、「ワインとして世界的な標準に達しているか」と同時に、「“日本ワインらしさ”を表しているか」という評価です。では、ワインに表れる“日本らしさ”、日本の“テロワール”とは何でしょう。

北海道でワイン用ブドウ園を営む〈ナカザワヴィンヤード〉の中澤一行さんは、「地球の一部を借りていると思っているから、なるべく手をかけない」と。畑で作業している時から、ワインの味わいを想像するのだそうです。ソムリエの大越基裕さんも、「できるだけ自然に造られた味わいが、日本の土壌や気候風土を表すことになると思う」と言います​。また、レストラン〈L’Effervescence〉の生江史伸シェフは、油脂を多用せず「旨み」を重ねて構築する日本の料理には、フランスワインのように脂を切るような強いタンニンのあるものより、​和やかな味わいの日本のワインが合う、と話してくださいました。そして、ワイン造りに携わって40年、〈丸藤葡萄酒工業〉の大村春夫さんの考える“テロワール”とは……? こちらは、ぜひ本誌をご覧下さい。

さて、ワインはもっぱらフランス、イタリア……という方も、これを機に、日本ワインを味わってみてください。そして、全国の造り手が表すテロワールを味わい、その狙いに想いを馳せて。

日本ワインの新しい地平は、いま飲みどきです。​

 
●草野裕紀子(本誌担当編集)
大地からの力強さを感じさせる、ナカザワヴィンヤードの畑。
大地からの力強さを感じさせる、ナカザワヴィンヤードの畑。



From Editors 2

スイスまで日本ワインを担いで
パオロ・バッソさんに会いに。

日本ワインとその造り手たちを追いかけて14年あまり。今回の特集は、私にとっても、原点に返って日本ワインの実態を見直してみようと思えた機会でした。

ワインは、グローバルなものなのか、ローカルなものなのか? 私自身は、極めてローカルなものだと考えています。あくまでも土地に根ざした農産物の延長上にワインがあると捉えているからです。日本各地でワインを造り続ける造り手たちも、最近ますます自分たちの土地の個性をワインに表現することに目を向けるようになっていると感じます。

そして日本代表ワインを試飲してもらった世界最優秀ソムリエのパオロ・バッソさんに取材するため、ワインを担いでスイスまで行ってきました。彼には以前に取材した機会があり、試飲の際の集中力は抜きん出ていると感じていました。しかし、今回のスイスの試飲での彼の迫力は凄かった。とても声なんかかけられません。はじめは6本のワインの香りをひたすら嗅ぎ分けます。そしてそれをもう1ラウンド繰り返す。それから初めてワインを口にするのです。1本あたりの試飲にかけた時間は6、7分! いまだかつてこんな試飲に出食わしたことはありません。真剣に日本ワインの真価が問われてるんだと、鳥肌がたちました。以前に会った時の彼とは明らかに違っていました。詳細なルポは、本誌で見ていただくことにして……。極めて緊張感ある取材だったことだけを、ここにご報告しておきます。

彼にプレゼンしたワインの中には、まだ知られていない造り手のもの、まったく知られていない品種のものもありました。そして、日本各地に改めて飛んだ取材では、新たな息吹が湧いているのを実感できました。今までにはなかった考えで、まったく新しいチャレンジをしている、そんな造り手たちが、ふつふつと湧いていると思うと、やっぱり心が躍ります。今なお各地で生まれる新たな個性を、みなさんとこれからも​見つめていきたいと、心底思えた特集です。

 
●鹿取みゆき(本誌担当編集)
真剣な表情で、テイスティングをするパオロ・バッソさん。
真剣な表情で、テイスティングをするパオロ・バッソさん。


 
ブルータス No. 810

世界に挑戦できる、日本ワインを探せ!

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