マガジンワールド


From Editors No. 821 フロム エディターズ

From Editors 1

珍奇植物、集めたはいいが……。

ひとつの特集を担当するときに、その世界に一度のめり込まないと作れない体質が災いして、まあ買い込みました今回も……。スピーシーズナーサリーのホヘンベルギアとケープバルブを皮切りに、オークションでパキポディウム、ホームセンターでフペルジアとアスプレニウム、植物園でアロエ、浅草橋でティランジアを買って、蘭展でジュエルとレパンテス、ドイツのエキゾチカで多肉をしこたま買い込み帰国、挙げ句の果てに植物を置く場所がないという。

冬場は温室がないので部屋に入れるしかなく、置き場に困ります。気づけば窓辺が珍奇だらけ。以前、『コレクター』の特集を作ったときに、ある人が言っていたことを思い出しました。コレクターがあたる壁は3つがあって、まず買うお金がない、次に置く場所がない、最後は自分が作り上げたコレクション譲る相手がいない。まさにいまの自分もそんな感じ。人に譲らないといけないほどのコレクションにはならないと思いますが、もう家には置く場所がない。今度は庭に植えられる露地栽培系の珍奇植物に手を出しそうで怖いです。

 
●町田雄二(本誌担当編集)
家の窓辺は変な植物でいっぱい。このあとドイツのナーサリーからデカいダンボール1箱分の植物が届きました。
家の窓辺は変な植物でいっぱい。このあとドイツのナーサリーからデカいダンボール1箱分の植物が届きました。

多肉愛好家の聖地とも言えるドイツのナーサリー【エキゾチカ】にも行ってきました。整然と並ぶレアな植物たちにグっとテンションあがりました。
多肉愛好家の聖地とも言えるドイツのナーサリー【エキゾチカ】にも行ってきました。整然と並ぶレアな植物たちにグっとテンションあがりました。



From Editors 2

掘って、掘って、また掘って。

「珍奇の道はドイツに通ず」と言うくらいですからね。いや、勝手に言ってるだけなんですけど。どうも珍妙な趣味をディグダグと掘り進めていくと、行き着く国はいつもドイツなんです。掘った穴は、深々と掘り進めなければ気が済まない、マニアック気質の塊のような国。植物趣味の世界でも、やはりドイツは特別な存在です。とにかく種を細分化していく傾向があって、小さな差異まで徹底的につきつめ、新種や変種として細かく区分していきます。だから、ドイツの植物趣味の会報誌などを読んでいると、「これ新種だったんだ!」とか「こいつの変種になったのか!」とか、なんとなく同種とされていた植物にも、実はこんなにも異なる系統があったのかと、驚かされることばかりです。「いやいや、そこまで細かくしてもキリがなかろう、、、。」と、国際的には認可されずに、ドイツだけで通用するものもあったりするみたいですが、ディテールのちょっとした違いにこそ鼓動が速まるようなタイプの人にはたまらないお国柄。今回は、そんなドイツで盛んに研究が進められてきたティランジア(エアプランツ)にフォーカスして、そのコレクションを取材してきました。当然、そこは見たこともないような珍種の宝庫。ドイツのティランジア研究を引っ張ってきた研究者やコレクター、植物園にもお話をきいています。ホント、その好奇心と探究心には頭が下がるばかりでした。余談ですが、植物以外の趣味の世界も、ドイツはみんなピッキピキに鋭いです。例えば、にわとり趣味の世界とか。かつて伊藤若冲が好んで描いた「黄笹」という種がいたのですが、日本ではずいぶん昔に絶えているんです。ところが、ドイツ人の日本鶏趣味家が交配を重ねてこれに極めて近い種を作り上げ、むこうでは復活しています。今度、ブルータスで『鳥だって。』のような鳥類を愛でる特集でもあれば、ぜひ取材したいところ。夢はドイツのあらゆる趣味の会を巡ることになりました。

 
●川端正吾(本誌担当編集)
種としては「ティランジア イオナンタ」なのだが、その様々な系統違いを徹底して収集していたコレクターの温室。ステムが長く伸びるものなど、パッと見、とてもイオナンタにはとても見えない個体も多くあった。
種としては「ティランジア イオナンタ」なのだが、その様々な系統違いを徹底して収集していたコレクターの温室。ステムが長く伸びるものなど、パッと見、とてもイオナンタにはとても見えない個体も多くあった。