みやげもんコレクション 089
じょうき
島根県/出雲市
文 / 川端正吾
掲載:BRUTUS#684 (2010年5月1日号)

大きな川のない大社地方で生まれた、車輪船の「精霊流し」。
島根県の出雲大社周辺地域では、精霊流しに適した大きな川がなかったため、車輪の付いた紙貼りの屋形船を作り、ロウソクを入れて、毎年七夕の頃から盆にかけて道を引いて歩く習慣がありました。この船が後に工芸品となったものが、今回ご紹介する「じょうき」。明治の中頃、大型船のことを蒸気船でなくてもすべて「じょうき」と呼んだことが、その名の由来です。
船体の華やかな模様は、溶かしたロウで和紙に線模様を描き、その上から絵の具で彩色することでロウが絵の具をはじき、浮かび上がります。中にロウソクの灯を入れた時、ロウで描かれた半透明の線模様から光が漏れ、模様がとても美しく映えるのです。しかし引火する事故が多発したため、残念ながら現在はロウソクを入れる仕組みはなくなってしまったそう。
そこで、試しに小型のLED電灯を入れてみたところ、うれしいことにバッチリ模様が浮かび上がりました。屋形の部分には、酒を酌み交わす人のシルエットがふんわりと(写真右下)。見えないこだわりがしっかりと引き継がれていたことに、本当に頭が下がります。
|
描き損じができないロウ模様つけでも、型紙などは一切使用せず、熟練の職人の筆さばきのみで仕上げる。じょうき(小)6,000円。●祝凧 高橋/島根県出雲市大社町杵築東724Tel: 0853・53・1553 |
![]() |
![]() |

