ブルータス - BRUTUS | みやげもん | 094 八雲の熊木彫り/北海道

マガジンワールド|株式会社マガジンハウス
 

・バックナンバー 一覧





みやげもんコレクション 094
八雲の熊木彫り
北海道/八雲町
文 / 川端正吾
掲載:BRUTUS#689 (2010年7月15日号)
熊の木彫りのルーツ、八雲町の熊が、今、大ピンチです!

 連載第1回に登場した北海道の木彫りの熊。ご紹介したのはおみやげの定番、鮭をくわえた旭川の熊でした。しかし、木彫りの熊のルーツは道南の八雲町にあります。ここでもう一度、北海道の熊木彫りのおさらいを。大正13(1924)年、この一帯を開拓していた徳川義親侯爵が、スイス旅行の際に持ち帰ったおみやげの熊木彫りをヒントに、農閑期の産業として農民たちに熊木彫りを作ることを奨励したのが始まりでした。農民美術研究会を作って講師を招いたり、生け捕りにした熊を飼育しながら、仕草を観察し、木彫りのデザインに活かすなど精力的に活動。その際に使用した熊の檻が今も町内に残っています。次第にこの木彫りが評判となり、北海道中で作られるようになったというわけです。


 そんな元祖・熊木彫りの八雲町なのですが、実はつい先日、町内最後の木彫り職人さんがお亡くなりになってしまいました。現状、お土産物店に残っているものが八雲の熊の最後という寂しい状況。町では作品保存や技術伝承のため目下いろいろな対策を検討中。なんとか伝統の火を守り続けてほしいものです。

一時は、様々な作風を持つ作家さんが活躍した八雲の熊。徳川侯爵がスイスから持ち帰った熊や、八雲で初めて作られた木彫り熊第1号などと併せて、町内の郷土資料館で見ることができます。