マガジンワールド

みやげもんコレクション 183 伊弉諾熊手

兵庫県/淡路市
文 / 川端正吾

伊弉諾熊手

国生みの神の旧跡でいただく開運の大熊手。

国生みの神話で知られる伊奘諾。伊邪那美との間に8つの島を産み、日本列島を作り出したとされています。まず最初に生まれたのは、淡道之穂之狭別島。これは今の淡路島。2番目に伊予之二名島、これは今の四国で、1つの胴体に顔が4つあり、それぞれの名が、愛比売(主に愛媛県)、飯依比古(香川県)、大宜都比売(徳島県)、建依別(高知県)といいました。3番目にできたのが、隠伎之三子島(隠岐島)。4番目に筑紫島(九州)。5番目に伊伎島(壱岐島)。6番目に津島(対馬)。7番目に佐度島(佐渡島)、そして、ようやく8番目に大倭豊秋津島、今の本州が生まれます。実は、日本列島の長子は淡路島で、本州は四国や九州よりも後に生まれた子だったのです。

そんな淡路島には、伊弉諾が天照大御神に神の統合の権限を譲ったのち、余生を過ごした住まい「幽宮」の跡地に建立されたと伝わる〈伊弉諾神宮〉があります。こちらでは、伊弉諾と伊邪那美の姿をあしらった大熊手が授与されていました。熊手の授与品は各地にありますが、ここまで立派なものが通年で授与されているのは珍しいです。

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写真上/淡路国の一宮と崇められ、地元では「いっくさん」とも呼ばれる伊弉諾神宮。写真下/大熊手は社務所でもひときわ目をひく。3,000円。●伊弉諾神宮/兵庫県淡路市多賀740☎0799・80・5001。



掲載:BRUTUS#778 (2014年6月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。