マガジンワールド

みやげもんコレクション 211 神戸だるま

兵庫県/神戸市
文 / 川端正吾

神戸だるま

神戸の異邦人に愛された、“幻のだるま”。

兵庫県で張り子細工というと姫路張り子が有名ですが、実はかつて、神戸にもだるまの張り子細工が伝わっていました。明治期に高松で張り子作りを学んだ職人が神戸の新開地で始めたもので、大正期になると神戸を訪れた外国人向けの土産物として人気を博します。しかし、大正中期には廃絶。その創始者の名前や正確な生没年もわかっておらず、“幻のだるま”といわれてきました。

その「神戸だるま」を蘇らせたのが、神戸市須磨区で「須磨張り子」を製作する吉岡武徳氏。数少ない現存品を参考にしながら、見事に復元を果たしました。小さな顔が衣の中にめり込んだような姿になるのが神戸だるまの特徴。顔には雲母(うんも)が塗られ、キラキラと光ります。写真上は、あどけない表情の絵付けがされており、神戸だるまを創始した人物の娘さんの作と推察されるものの復元であることから「娘タイプ」と呼ばれる作品。また、その父である創始者の製作していたものは、顔はおかめのようで、鼻面が長い作風。こちらは「おかめタイプ」と呼ばれており、ともに吉岡氏によって復元されています。

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写真上/神戸だるま(娘タイプ・大)3,500円(須磨張り子工房☎078・734・5397)。写真中/吉岡氏が創作した須磨張り子の作品たち。1984年に生まれた新玩で、ほかにも雛人形や招き猫などがある。


 

掲載:BRUTUS#806 (2015年8月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。