マガジンワールド


みやげもんコレクション 230 瓦猿

和歌山県/和歌山市
文 / 川端正吾

瓦猿1,500円。

安産とともに、商売安泰をもたらすいぶし銀の猿。

和歌山市田中町はかつて「瓦町」と呼ばれ、瓦職人の集まる町として栄えました。彼らの内職として作られていたのが、今回ご紹介する「瓦猿」。この猿は市内にある栗林八幡宮境内の日吉神社にまつわる縁起物で、妊娠すると安産を祈願して瓦猿を1体借り受け、無事出産が済むと、もう1体授与していただき2体にして奉納します。また瓦猿を「変わらざる」と読めることから、最近では商売安泰・順風満帆のお守りとしても人気があります。

この瓦猿を伝えているのは、田中町の元瓦問屋の4代目当主・野上泰司郎さん。現在、瓦問屋としての仕事はやめていますが、江戸時代から続くこの瓦猿は守り続けていかなくてはならない、という思いから、製作を続けています。また、瓦猿のほか、同じく和歌山市内の津秦天満宮で授与されている子供の腫れ物治癒を願った「寝牛」も手がけています。ともに、製法も昔と変わらず、瓦地に最適な淡路島産の土を使って、型で成形し、約27時間かけて焼成したのち、いぶします。瓦猿は仕上げに、顔と手に携える桃に紅がらで色を付けたら完成です。

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写真上/瓦猿1,500円。写真中/先代の時代の瓦猿は今よりやや小ぶりであった。写真下/子供の腫れ物を食べてくれるという瓦地でできた寝牛。1,500円。●野上泰司郎 Fax073・426・2751。


 

掲載:BRUTUS#825 (2016年6月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。