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竹寺の蘇民将来 みやげもんコレクション 254 BRUTUS No.849

みやげもんコレクション 254竹寺の蘇民将来

埼玉県/飯能市
文 / 川端正吾

蘇民将来の護符3,000円(竹寺☎042・977・0108)。

神仏習合寺院で授与される牛頭天王の護符。

埼玉県飯能市の山中にある竹寺は、明治時代の神仏分離をまぬがれ、現在でも神仏習合の形で神様と仏様が一緒に祀られる、東日本で唯一の寺院。本尊には牛頭(ごず)天王、本地仏には薬師如来が配されています。牛頭天王は、もともとはインドの祇園精舎の守護神であり、中国で密教や道教などと習合したものが日本に伝えられました。日本では蘇民将来伝説と結びつき、素盞鳴尊(すさのおのみこと)と同体とされています。竹寺ではそうした由来から、除災招福・出世開運を願い、木製の蘇民将来の護符が古くから授与されています。

蘇民将来の護符は、各地の素盞鳴尊を祀る神社で授与されており、それぞれデザインが独特で、収集心をくすぐられる縁起物です。以前、こちらの連載でも神戸にある祇園神社の蘇民将来をご紹介しました。基本は六、または八角形に削られた木に、「蘇民将来子孫也」や「蘇民将来子孫之門」などの文字が各面に分割して書かれます。竹寺の蘇民将来は、六角柱でスラリとスマート。朱と墨で「蘇民将来子孫長久門戸祈攸」の文字と飾り模様が描かれた素朴な佇まいが魅力です。

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写真上/蘇民将来の護符3,000円(竹寺☎042・977・0108)。写真中/牛頭天王を祀る本殿。木造牛頭天王坐像は、12年に1度の丑年に開帳される。写真下/春・秋には精進料理が食べられることでも有名。


 

掲載:BRUTUS#849 (2017年7月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。