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6人の「とんか通」が選んだ、決定版!とんかつセレクション。 Special Contents BRUTUS No.852

Special Contents 6人の「とんか通」が選んだ、決定版!とんかつセレクション。

日本全国、とんかつを食べられる店は数知れず。専門店に街場の食堂、居酒屋まで、ありとあらゆるシチュエーションから、コレぞ! というアイテムを6人のとんかつ好きがセレクト。6品ずつを選んでもらった計36品の中から、ここでは3名の2品を抜粋して紹介します。


ツレヅレハナコ
ツレヅレハナコ
●エディター
Hanako Tsurezure

ご本人いわく「お酒とお酒に合う食べ物のことばかり考えている」編集者。この5月、3冊目の著書『ツレヅレハナコの薬味づくしおつまみ帖』を上梓。守備範囲の広さと壮快な食べっぷり、パンチのある文章で読者を魅了する。キホン、とんかつはおつまみ派!

和知 徹
和知 徹
●〈マルディ グラ〉
オーナーシェフ
Toru Wachi

肉好きから「聖地」と称されるフレンチビストロのオーナーにして、“肉シェフ”の異名を持つ料理人。年に数回は、肉料理を求めて海外へ。その旅で得たヒントが豪快にして骨太なフレンチとして結実する。自店のある銀座を中心に行きつけのとんかつ店、多数。

浦風冨道
浦風冨道
●日本相撲協会審判委員
Tomimichi Urakaze

元・西幕内筆頭 敷島。1989年に初土俵、2001年に引退。現在は日本相撲協会の審判部に所属。審判委員を務めつつ、DJ、ボーカリスト、旨食探索人としても活動し、執筆もこなす自由人。巡業先でも、とんかつの名店をはじめおいしい店巡りは欠かさない。


THEME 01自分史上、最高のロースは?

ロースこそカツの王道。ジュワッと溢れる肉汁に、甘くてとろける脂身。そう! 上質の脂身こそカツの正義なのです。
ツレヅレハナコ
ツレヅレハナコセレクト
〈とんかつ 鉄(くろがね)〉の
特上ロースかつ定食
●大森
 〈とんかつ 鉄〉の特上ロースかつ定食
1人前260〜270gの
無菌豚を使ったボリュームが自慢。
モダンジャズが流れるとんかつ店。「しっとり赤身はもちろん、とろりとした脂に仕上げる火入れが素晴らしい。おつまみがいろいろあるところも好きです。ビールや焼酎を飲んで、ロースカツもつまみの一つとして楽しんでいます」。豚肉は、食感の軟らかい無菌豚を使用。その中でもサシの入り方が程よい部位を使った「特上」がツレヅレハナコさんのお気に入りで、2㎝以上の厚みをラードでからりと揚げている。1,900円(ご飯、味噌汁、香の物付きの定食2,000円もあり)。
●東京都品川区南大井6−19−16 カテリーナ大森B1☎03・6459・6416。11時〜14時、17時〜21時。月曜休。


和知 徹
和知 徹セレクト
〈銀座 とん㐂(き)〉の
ロースかつ定食
●銀座
 〈銀座 とん㐂〉のロースかつ定食
脂身がとろける三元豚を
高温でサクサク、ジューシーに。
昭和2(1927)年創業。銀座という立地でありながら、ランチのコストパフォーマンスの高さは特筆もの。和知徹さんも数多いリピーターの一人だ。「揚げる油の香りが食欲を刺激して、ジュワジュワ音を立てるロースかつに突進したくなる。ロースの脂はご馳走だ!」。〈平田牧場〉の三元豚のロース肉は、肉の繊維のきめ細かさ、上質な脂が魅力。そこに甘味のある生パン粉をまとわせ、高温のラードで手早く揚げるという。ランチはご飯、味噌汁、お新香付きで930円、夜は単品で1,180円。
●東京都中央区銀座6−5−15 B1☎03・3572・0702。11時30分〜15時、月曜〜金曜の17時〜21時。不定休。


浦風冨道
浦風冨道セレクト
〈特選とんかつ すぎ田〉の
ロースカツ
●蔵前
 〈特選とんかつ すぎ田〉のロースカツ
脂身のおいしさが引き立つ
カリッと香ばしい薄衣が格別。
清潔感のあるカウンター前に並ぶのは、オランダ産の高級ラードが入った温度の違う2つの銅鍋。浦風親方が「ロースカツは火入れ加減が絶妙!」と言うように、低温と高温の二度揚げでコクと香ばしさを引き出すという。衣には、近所の人気ベーカリー〈パンのペリカン〉のパン粉を使用。衣が薄く、細い幅に切られているのも特徴で、ロース肉そのもののおいしさ、軽さが味わえる。とんかつソース、甘めのウスター、スパイスが効いたウスター、焼き塩で味の変化を楽しんで。2,100円。
1977年創業。●東京都台東区寿3−8−3☎03・3844・5529。11時30分〜14時、17時〜20時15分LO。木曜休。


THEME 04このアイデアには参りました。

ほかでは見ない肉の部位や衣、鉄板にのせたり、何かを挟んだり……。料理人の工夫と遊び心満点のフリースタイル、これは試す価値ありでしょ。
ツレヅレハナコ
ツレヅレハナコセレクト
〈菱田屋〉の
にんにくみそはさみとんかつ
●駒場東大前
〈菱田屋〉のにんにくみそはさみとんかつ
たっぷりのニンニクと大葉が、
カツの旨味を引き立てる。
「すべてのフライメニューが最高の定食屋。たっぷりのニンニクといい、さりげなく挟まれた大葉といい、夏に食べたくなるとんかつ。でも意外とマイルドな味わいなんです」。厳選した無菌豚のロース肉に田舎味噌を塗り、大葉と千切りにしたニンニクを挟んで、ラードと白絞油をブレンドした油で揚げている。ニンニクのパンチは感じるものの、大葉の爽やかな香りが口いっぱいに広がる。豚肉を250gも使っているのに、最後まで食べ飽きない逸品。1,130円。
●東京都目黒区駒場1−27−12☎03・3466・8371。11時30分~13時50分LO、18時~22時LO(土18時~22時LO)。日曜・祝日休。


和知 徹
和知 徹セレクト
〈黒豚料理 あぢもり〉の
バラかつ
●鹿児島・天文館
〈黒豚料理 あぢもり〉のバラかつ
すっきり甘い脂身が上質の証し。
黒豚の魅力は「バラ」にあり。
昭和53(1978)年創業。黒豚しゃぶしゃぶを全国で初めて提供した黒豚料理の老舗。「〈黒しゃぶ〉ももちろん旨いが、脂にキレがあり、香りも良い〈あぢもり〉の肉だからこそバラかつで食べたくなります」。厳選した上質な黒豚の脂身は白身と呼ばれ、あっさりしていて甘味も強い。後味がすっきりしているのは、黒豚の白身は融点が高いから。さらりと仕上げた自家製ソースも肉本来の旨味を引き立てる。単品1,380円。このほかランチ980円やセット1,480円も。カツだけの食事は昼のみ。
●鹿児島県鹿児島市千日町13−21☎099・224・7634。11時30分~14時30分、17時30分~21時30分。水曜休。


浦風冨道
浦風冨道セレクト
〈わらじや〉の
鉄板とんかつ
●愛知・名古屋
〈わらじや〉の鉄板とんかつ
おいしい音と香りに包まれる
ライブ感も楽しい逸品。
「味噌カツで有名な矢場とんの別館。おしゃれな隠れ家風店内で、名古屋カップルが赤ワインを傾け、名物の鉄板とんかつを食べています。秘伝のみそだれがしみしみのキャベツは赤ワインと相性抜群」。厚さ約2㎝の南九州産リブロースを短時間で揚げるため、油っぽさはなく、豚肉はジューシーなまま。揚げたてを千切りキャベツとともに、熱々に熱した鉄板にのせて、客の前へ。仕上げに特製の味噌だれをかけると、じゅわぁ~の音とともにキャベツと味噌だれの甘い香りに包まれる。2,160円。
30種のワインや珍しい焼酎も。●愛知県名古屋市中区大須3−6−23☎052・241・2409。17時~翌2時。不定休。


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とんかつ好き。

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