ブルータス - BRUTUS | Tokyo Short Trip

マガジンワールド|株式会社マガジンハウス
 

上/数々の小説の舞台となった吾妻橋で、完成したばかりのスカイツリーをバックに撮影する若木信吾さん。右/ワンデイトリップの準備として、レンズを6本セレクトし、小説とともに鞄へ詰め込む。




小説とレンズ。無目的であることが旅の目的ではあるけれど、この2つの世界観を用いることで、旅は記憶に残るものになる。小説の世界観に浸りながらシャッターを押す。そこに写るのは、若木さんならではの視点。その独自の視点はレンズによって大きく変化するのだという。「レンズは“世界観”」だと、若木さんは教えてくれた。

「レンズはデザイナーが構築した一つの世界って言うことができると思う。何枚のレンズを重ねるか。歪みはどうするのか。画角、明るさ、あるいは軽さや手触り。一本のレンズが一つの世界だとするならば、レンズを一つ増やすごとに世界が増えることになる。それって、とても楽しいことだよね。大袈裟かもしれないけれど、レンズを変えることは、世界を変えることと同じだと思ってる」

レンズを通して見たように世界を感知することのできる能力をフォトグラファーズ・アイと呼ぶ。フレーミングだけでなく、遠近感や光、ボケまでも自分の眼として知覚できる能力。フォトグラファーズ・アイを獲得するためには、「レンズと自分の関係性を知ることが重要」だと若木さんが語るのは、レンズが写真撮影のキモだからだろう。

「何か対象を決めてからレンズを変えるのではなく、レンズを決めてから対象を探すのが鉄則だと思う。一つのレンズを選んだら、ひとまずその世界観を味わいながら、自分の興味の対象を探していく。映画でも小説でもそうかもしれないけれど、フィクションを感じてしまうと世界観は台無しになってしまうでしょ? レンズ越しに見る世界に自分が没入していくことが重要なんだよね。ズームの場合には、連続した世界観ではなく、“行ったり来たり”を味わうこと。まずレンズを決めて、確信を持って対象に向かう。そうすれば、今回のトリップのように、映画を6本分観たような充実感を味わえるんじゃないかな」

〈パナソニック ルミックス〉のレンズは軽さと機能性を持ち合わせている。今回のように次々と撮影場所を変えるショートトリップでは、手軽さも必要。

「写真は、目の前のものを受け入れていく作業でしょう。頭の中の借りてきたイメージに近づけるために写真を撮るのはとても難しい。でも、撮るべきものは目の前にゴロゴロしているはずだから。フォトグラファーズ・アイを身につけるために、あるいは目の前のものを受け入れるためには、毎日、気軽に使えることが必要かもしれない」

豊かな描写力と軽さを兼ね備えたレンズ群は、我々を新たな世界への入口に立たせてくれる。

若木信吾/1971年静岡県浜松市生まれ。写真家、映画監督。写真集『Takuji』『TIME AND PORTRAITs』など多数、映画に『星影のワルツ』『トーテム song for home』がある。地元浜松で、書店〈BOOKS AND PRINTS〉も営んでいる。



レンズ交換が可能な、
デジタル一眼の新境地。

電動ズームによってパンケーキからレンズが飛び出る様は、レンズの新時代を感じさせる。マイクロフォーサーズ規格を採用した「ルミックスGマイクロシステム」は、素晴らしい軽量化を実現。

若木さんに使用感を尋ねると、「なんといっても軽さが嬉しい」と答えるのは、実感のこもった言葉。今回のショートトリップに使用した6本と、今回使用しなかった8本を追加した全14本のラインナップ。どれもが技術の粋を結集し、新たな“世界観”を表現している。