マガジンワールド

From Editors No. 165 フロム エディターズ

特集内容

読み継ぐべき絵本の名作100

この特集では、今年誕生50周年を迎え、先日第61回菊池寛賞を受賞されたばかりの中川李枝子と山脇百合子による国民的名作『ぐりとぐら』、お腹を空かせたあおむしがページに穴を開けながらさまざまな食べ物を食べて成長する、エリック・カール作『はらぺこあおむし』、まっくろな魚スイミーが仲間と力を合わせて大きなマグロに勇敢に立ち向かう『スイミー』など、世代を越え、国境を越え、長く読み継がれてきたマスターピースを100冊に厳選してガイド。『ぐりとぐら』の主人公が野ネズミになった理由や、ブルーノ・ムナーリのまるで手品のような絵本の創作の秘密を、デザインの視点からも読み解いていきます。

レオ・レオニを始め、ジョン・バーニンガムやマーシャ・ブラウンなど数々の世界的な名作絵本の翻訳を手がけてきた詩人の谷川俊太郎さんには、『スイミー』や『フレデリック』の翻訳を手がけたきっかけを聞き、フードディレクターの野村友里さんには、ハンス・フィッシャー作『おたんじょうび』のクグロフ型のパウンドケーキを作って頂きました。

その他、絵本の世界を体験できる旅リストや、テーマ別にセレクトした「名作絵本図書館」まで、古今東西の名作絵本を余すことなく紹介。
決して色褪せることのない、子供の頃の絵本の記憶。大人になってから読み返してみると、さらにいくつもの発見がありました。時を越えて読み継がれる名作の数々、あなたにとって大切な絵本は、この100冊の中にありますか?


Editor’s Voice

絵本とデザイン。

絵本を「人生で初めて出合う物語だ」という人もいれば、「幼児のための教科書」という人もいます。また「めくって遊ぶ知育玩具」だという人もいれば、「一番小さな美術館」だと表現する人もいる。そんないろんな顔を持つ“絵本”というものを、今回、絵本特集を作るにあたり、デザインという視点で見つめてみたら、どういう切り口が見えるだろう? と、様々な絵本作家のルーツを調べてみました。

すると、世界中に愛される絵本を生み出した巨匠に、グラフィックデザイナー出身の作家が実に多かったのです。『はらぺこあおむし』の作者エリック・カールは、元々ニューヨーク・タイムズ社のデザイナーとして働いていたし、“うさこちゃん”の生みの親、ディック・ブルーナも自身が勤める出版社のブックデザイナー。『スイミー』のレオ・レオニ、『アンリくん、パリへ行く』のソール・バスもそう。

今回の特集の冒頭で、アートディレクターの佐野研二郎さんに、エリック・カールさんへ手紙を書いて頂いたのですが、エリックさんからのお返事の中で驚いたのが「84歳になった今でも、自分のことをデザイナーだと思っている」と、おっしゃったこと。

『はらぺこあおむし』や『スイミー』『うさこちゃん』が、世代や言語を越えて子供からも大人からも愛されているのは、デザイナーの視点で作られているからなのかもしれない、と妙に膝を打ったのでした。


CASA BRUTUS No. 165

読み継ぐべき 絵本の名作100

922円 — 2013.11.09電子版あり
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CASA BRUTUS No. 165 —『読み継ぐべき 絵本の名作100』

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