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日本で生きる難民一人ひとりの物語をポートレートから感じ取ってほしい。

あなたに伝えたい

難民たちがたたずむ写真の数々。「この人たちは誰?」と興味を持ってもらうことが理解の第一歩になる。

日本で生きる難民一人ひとりの物語を
ポートレートから感じ取ってほしい。

 
左から・ブルクタウィットさん。日本で結婚し子育てしながら働く/バングラデシュのジャーナリスト、カビールさんは9年かけて妻と娘を日本に呼び寄せた/ゾーミントゥさんは埼玉県で会社を経営する/シリアでは裕福だったファルハさん。日本は安全というが、未だ難民認定されず先行きが不安だ。
左から・ブルクタウィットさん。日本で結婚し子育てしながら働く/バングラデシュのジャーナリスト、カビールさんは9年かけて妻と娘を日本に呼び寄せた/ゾーミントゥさんは埼玉県で会社を経営する/シリアでは裕福だったファルハさん。日本は安全というが、未だ難民認定されず先行きが不安だ。
「難民」と聞いて思い浮かべるイメージは何だろう。国境に押し寄せる群集、子どもの手を引き黙々と歩き続ける人々……。個人の名前や顔がクローズアップされることはない。宮本直孝さんにとっても同じような印象だった。

「どこか他人事のように感じていました。でも写真の被写体を探していた時、日本にも難民が暮らしていると聞き、それなら会ってポートレート(肖像)を撮りたいと思い立ったんです」

宮本さんは「難民支援協会」に話を持ちかけ、『Portraits of Refugees in Japan – 難民はここにいます。』と題する写真展を共同で企画。6月20日の「世界難民の日」にスタートする。

場所は東京メトロ表参道駅コンコース。日本で暮らす難民たち28人の写真が通路の壁を縦180センチ、幅20メートルにわたり埋め尽くす。駅構内を行き交う人たちが思わず足を止めそうなインパクトのある展示だ。

当初は「悲惨な境遇の人たち」を撮るつもりだったという宮本さん。だが撮影で出会ったのは、予想とは違う難民の素顔だった。

「置かれた状況は様々だけれど、共通するのは堂々としたところ。おどおどもせず、自分を良く見せようともしない。タフに生きているなあと感じましたね」

エチオピア出身のブルクタウィットさん(左端写真の女性)は、反政府運動による2度の逮捕を経て、9年前に命がけで日本に逃げてきた。難民と認定されるまで入国管理センターに何度も収容され、強制送還への恐怖で耳が聞こえなくなったこともあったが、今は幸せだと話す。

18年前、ミャンマーの軍事政権から迫害を受け難民となったゾーミントゥさん(右から2番目の男性)は、少数民族ロヒンギャの出身。民族弾圧を告発する本を出版するなど今も活動を続けている。撮影の初めは柔和な顔だったが、だんだんと怒りをにじませた表情に変わったそうだ。

現在日本に住む難民は1万人とみられているが、一般には知られておらず理解が進んでいないという。

「写真を見た人たちが、難民をひとくくりにせず、一人ひとりが違う名前や顔、物語を持っているんだということに気付いてくれたらうれしい」と宮本さんは期待する。写真展は6月26日まで。ウェブサイトは http://www.refugees-in-japan.com

撮影中はあまり会話せずシャッターを押し続ける。次第に相手の内面が表れるという。
撮影中はあまり会話せずシャッターを押し続ける。次第に相手の内面が表れるという。
 
宮本直孝さん

宮本直孝さん
みやもと・なおたか フォトグラファー
1961年生まれ。モデルやパラリンピック選手らを被写体に、数々の写真展をオープンスペースで開催。



撮影・宮本直孝(難民ポートレート)、岩本慶三 文・魚住みゆき