マガジンワールド

From Editors 編集部こぼれ話

岡山県牛窓に移住した吉沢小枝さんと娘さん。庭先からはフェリーの航行が見える抜群のロケーション。この地は今村昌平監督の『カンゾー先生』のロケ地でもあったとか。取材の合間、ランチには地元ならではの新鮮なネタの海鮮丼をいただきました。

穏やかな瀬戸内の海にモノ思う午後。

今回の特集のトップは「暮らしの目利きが、いま使っている道具」。このページに、「家事塾」を主宰す片づけや収納については、引越が強力なモチベーションのひとつになることはよく知られています。引越、転居もその理由はさまざまですが、今回取材して印象深かったのは「移住」というスタイル。そこには人生における積極的な意志というものが感じられます。巻頭に登場した作家の原田マハさんも、東京から蓼科に移住して、住まいの建築からインテリア、仕事の流れから地域コミュニティとの新しい関わり方など、大きな視点で自身のライフステージを転換しました。それに伴って諸事どう片づけられたか、ぜひ誌面をご覧になって確かめてみてください。

さて今回、ライフストーリーを追うかたちで取材したなかの1人、金属作家の吉沢小枝さんの移住も印象的でした。生まれ育った神奈川県から岡山県の牛窓に子どもたちと一緒の移住です。そんなスタイルは、ちょっと前ならドラマ『北の国から』を想像してしまいそうですが、面白いのは、都市近郊育ちの子どもたちもまた移住に積極的だったということです。

穏やかな瀬戸内の海をフェリーがゆっくりと航行し、釣り糸を垂れれば面白いように魚が釣れる海沿いの街に、都会育ちの若い世代がすんなりなじんでしまうところに、何だか新しい世代の精神の息吹を感じてしまいました。

モノをどんどん手に入れて増やしていく時代に育った親世代と、生まれたときにすでに周囲にモノが豊富にあって、そこから自分の選択をして生きていこうという若い世代。ドラマの『あまちゃん』ではありませんが、地元と都会の葛藤を超えて、ラストで光の中に駆けて行くアキとユイの姿も重なり、次の世代への希望を感じました。だからこそ、大人の私たちもしっかり人生を見据えて身の回りを整理しておきたい、そんな思いにかられた瀬戸内の静かで穏やかな午後でありました。

(編集担当 TK)


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