マガジンワールド


From Editors 編集部こぼれ話

あるものもたくさんあるんだよ。

日本で最も「健康寿命」が長い静岡県、その静岡県の中でも「お達者度」(65歳から、元気で自立して暮らせる期間から算出)が高いことで知られる、川根本町。

そんな川根本町の健康長寿の秘密を探るべく、現地に行ってきました。静岡県なら日帰りでも行けるかしらん、などと当初考えていた私。甘かった。まず、新幹線で東京駅から静岡駅へ。そこから川根本町までは「大井川鉄道」という素敵なSL列車が走っているものの、駅数や本数が多くないため、小回りが必要な取材に使うのは現実的ではありません。そこでレンタカーを借りたのですが、車で走る道は曲がりくねって、対向車とすれ違うたびにハラハラ、ドキドキ。結局車で2時間弱を走り、東京を出てから川根本庁の役場に到着するまで、およそ4時間の長旅になりました。

普通に考えれば、交通の便が悪いのは「健康長寿」にとってはマイナスになりそう。買い物へ行くのも、病院に行くのも一苦労のはず。ところが川根本町は、「不便」であることをバネに、町ぐるみで住民の健康のために取り組みを続けているのです。取材の中で聞いた、こんな言葉が印象に残りました。「ないものはたくさんあるけれど、あるものもたくさんあるんだよ」

「ある」ものとは、住民どうしのつながり、不便だからこそ得られる足腰の強さ、熱心な役場のスタッフ。もうひとつ忘れてはいけないもの……それは温泉! 実は川根本町は接岨峡地区や寸又峡地区をはじめ、豊かな温泉地としても知られているのです。私が泊まった宿は、誌面にも登場する98歳の望月恒一さんが社長を務めた「翠紅苑」。なんでも、源泉は南アルプスの硫化水素系・単純硫黄泉で、「美女づくりの湯」としても知られているそうで、肌だけはきれいと褒められる私の肌が、ますますすべすべに!

日帰りの取材だったら、きっと温泉には入れなかったでしょうから、不便というのはやっぱり悪いことばかりではないですね!

取材で泊まった宿、寸又峡地区の翠紅苑。
取材で泊まった宿、寸又峡地区の翠紅苑。


(HM)