クロワッサン - CROISSANT | 手みやげをひとつ

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手みやげをひとつ | 205

次代に受け継ぐ、新しい和菓子。

柳原尚之さん やなぎはら・なおゆき 料理研究家


柳原尚之さんは次代をになう日本料理界の若武者。祖父の代からの近茶流を受け継ぎ、発展させる重責を背負う。
「藤い屋さんの藤井嘉人君とは同世代。老舗の菓子屋として代を継ぐという僕と近い境遇にあり、家族ぐるみで親しくしています。この『やわらぎ』は彼が自分で企画し、デザインを考え、自らあんを練って作った菓子なんですよ」
広島の『藤い屋』は大正14年創業の老舗和菓子店。もみじまんじゅうが名代の看板商品であるが、「次へのステップ」として彼は「やわらぎ」を考案した。黒胡麻をたっぷり使った薄手の黒い皮は蜂蜜入り。甘さを抑えた粒あん。胡麻の香ばしさとあんの、味の調和が斬新だ。
「彼が持って来たとき、自信があるな、と感じたんですよ。苦労して作りあげた経過がひしひしと伝わってきてね」
心して、ひと口。
「おいしいんですよ。もちっとした皮に正統派のあんが、現代の嗜好にも合う」
かくして、尚之さんの手みやげに。
「自分がおいしいものをおみやげにするのが、基本でしょう。箱のデザインも格好いいんですよね」
いまや日本料理は外国人にもブームだ。柳原料理教室にも各国からの生徒が在籍する。一番の人気は、だし。
「かつおぶしに昆布の日本のだしは、いろいろな料理に使える汎用性があると、外国人の方に手ほどきすると、改めて気づきます」
日本料理や和菓子が、海外でも市民料理の域に広がるよう願う。
「コーヒーにも抹茶にも合う。茶席に向く上生菓子の風情もあれば、手づかみでいい気楽さもある。これ、ウチでは勝手に“ごまどら”って呼んでるんですよ」
作り手へのエールを込めて選ぶ一品だ。
「同世代の人のチャレンジを応援したい気持ちがありますから」

 

ふじいやのやわらぎ●広島県廿日市市宮島町11 29 ☎0829・44・2221 営業時間8時〜18時、無休。「やわらぎ」は5個入り900円から。
オンラインショップ http://www.fujiiya.co.jp
☎0120・80・2218(9時〜17時、無休)

撮影・岡本 潔(物)

近茶流嗣家。東京・赤坂柳原料理教室副主宰。大学時代は醸造・醗酵学を学ぶ。父・一成さんとともに日本料理、茶懐石の指導にあたる。著書に『近茶流柳原尚之の基本の和食ーもっとおいしく。』(ゴマブックス)ほか。
http://www.yanagihara.co.jp