手みやげをひとつ | 209
しっとりぽわぽわ、街で人気の中華蒸しパン
渡辺有子さん わたなべ・ゆうこ 料理研究家

近所にこんな店があったらいいな、街の小さな中華まん専門店。
店内には大きなせいろが積まれ、白い湯気の下には、ほかほかに蒸された肉まんなどが並んでいる。終日、客の行列が絶えない人気店だ。
渡辺有子さんは、ここの「まん頭」がお気に入り。
「枕みたいな、かまぼこみたいな、独特の形。生地のきめの細かさ、ふわふわ感はほかにはないですね。男性や甘いものが苦手な人への手みやげにしたり、こういう食べ物が好きな人の顔が浮かぶと、買いに行きます。気に入った人が自分でも行って、“鹿港の輪”が広がっているんですよ」
鹿港は台湾中部にある町。ここの老舗『振味珍』の肉包(肉まん)の味に惚れ込んだ主人が現地に通って製法を習い、地名と同じ名で店を出した。
「まん頭」は、具の入っていない蒸しパン。ここのはほんのり甘くて大きく弾力が強く、指で押すとポワンポワンと跳ね返る。1個70円という庶民的な値段も感涙もの。
「自宅では、冷凍保存しておいて煮込んだ肉や野菜をはさんだり、バターやジャムを塗って食べています。パーティに参加するときに持って行くのもよいなと」
と、中華料理の一品ではあるが、さまざまな食べ方で楽しんでいる。お店によれば、油で揚げたり蜂蜜やクリームチーズ、ハム、カレーと一緒に食べても相性がよいという。
「手みやげならば、近所のおいしいものを持って行きたいですね。生活圏にあっておすすめできるもの。自分が食べておいしいもの。私もローカルのおいしいものをいただくとうれしいですから」
作り手の顔が見えることが大切と、渡辺さん。ご近所で評判の店の手みやげは、肩の凝らない親しみと安心の味だ。
ルーガンのまんとう ●東京都世田谷区世田谷3・1・12 ☎03・5799・3031 FAX03・5799・
3032 営業時間 9時〜夕方売り切れじまい。木曜、第2・第4水曜休。まん頭 1個70円。
http://www.lu-gang.com/
撮影・柴田博司(人物)、岡本 潔(物)
季節や素材の味を大切にした料理を提案する。近著に『スープの教科書』(家の光協会)。4月20日、21日に、東京・原宿の「ユナイテッドアローズ原宿本店 ウィメンズ館」で料理と日本酒の新しい組み合わせのイベントあり。問合せ:☎03・3479・8176