クロワッサン - CROISSANT | 手みやげをひとつ

マガジンワールド|株式会社マガジンハウス
 
 



マガジンワールド | クロワッサン - CROISSANT | 手みやげをひとつ

エストパニスのパンとおつまみ
ワインのお供に、これさえあれば。
小野藤子さん おの・ふじこ 地方料理研究家、エディター


 ワインにパンとつまみ。これであとは何も要らない。そう思えるほどおいしいパンとの出合いは口福(こうふく)の極みだ。  小野藤子さんは『est Panis(エストパニス)』のパンを、 「香り、味、食感。すべてが自然の優しさと力強さにあふれていて、疲れているときに食べると身も心も元気が出る不思議な魅力。誰に差し上げても喜ばれます」  と、手放しでほめる。 「私は仕事中に食べるご飯、というテーマでのケータリングの仕事もしていますが、焼きたてのここのパンを持って行くと、匂いにつられて料理より先にパンがなくなる。こんなにパンが進むパンはないですよ」 『est Panis』は7月に開店したばかりのパン屋さん。主人の横森あき子さんはフランス料理研究 家で、パリの修道院でパンと料理の作り方を習得した。パンはりんご酵母を中心に用いて焼いた、伝統的な味である。一緒に販売する惣菜もパンに合うもの。 「彼女の料理は、しみじみと沁みるーという味ですね。おいしいパンとつまみをワインで。それだけで充分シアワセ」  小野さんは、日本全国の伝統料理をたずね歩くのがライフワークだ。料理とともにさまざまな出合いがあり、ときには思わぬ手みやげをいただいた。 「取材で青森に行きました。駅の待ち合い所で、地元のおばあちゃんに漬物に興味があると話したら、ふとおばあちゃんは駅から出て行き、『ウチで漬けたワサビの葉の漬物だ』(青森弁で)と、瓶詰を持って来てくださったことがあります。ありがたかったこと」  人々が昔から食べつないできた地方料理や伝統料理の力。フランスのものでも日本のものでも、小野さんの味覚に深く沁みて、離さない。

●東京都大田区田園調布2・23・4 ☎ 03・3721・5006 営業時間10時〜売り切れじまい、水曜・第1・3木曜休。 http://www.estpanis.com/ 撮影・岡本 潔

京都府出身。料理本のエディターとして活躍。自著の『おうちで作る郷土ごはん』は、今年2月、パリの『グルマン世界料理本大賞』郷土料理部門賞1位を受賞。他に『おすそわけ おふくわけ』。ケータリングの問い合わせは、f-aoki@ac.auone-net.jp