マガジンワールド

アン スリールのボワット ブランシュ

手みやげをひとつ (267)

temiyage_box

アン スリールのボワット ブランシュ

ペカンナッツとチョコが譲り合う、絶妙のほろ甘さ。



アン スリールのボワット ブランシュ

 
ん! ……これ、なあに? 甘いもの好き女子の声が聞こえそうなスイーツ。オレンジピールをダークチョコでくるんだ「オランジェット」、ペカンナッツをホワイトチョコでくるんだ「ペカンナッツ」。口の中に広がるのは、何層にもわたる優雅な甘さと、ほろ苦さ。すっかり虜になってしまったのは、女優の木村多江さんだ。

「ふだんはスイーツよりフルーツを好んで食べます。でも、これは別なの。手を出したらとまらなくなっちゃう(笑)」

なにがいけないって、オレンジピールやペカンナッツと、チョコレートとの絶妙なバランスで食べすぎてしまうこと。

「チョコでくるんだお菓子は、チョコが目立つ感じだけれど、これは素材同士が『どーぞどーぞ』と譲り合って主張しすぎず、調和するおいしさなんです」

お店の名は、微笑みを意味する「アン スリール」。東京・駒沢の小さなパティスリーで、添加物を使わずに仕上げた誠実なケーキやお菓子は地元の人たちのみならず、遠くから買いに来る人も。

「多くを語らないけれど出合ったら忘れられないお菓子は、控えめで物静かなご主人の印象そのもの」とは、たびたびお店を訪れている木村さんの感想。車でボワット ブランシュを買いに行き、ロケ先や撮影現場の仲間たちに差し入れ。これなら忙しいスタッフにも、気軽につまんでもらえるだろうという心づかいだ。

木村さんにとって、差し入れや手みやげは「みんなを仲よくさせるツール」。

「人間って不器用ですよね。子どもだったら『遊ぼ!』ですむのに、大人になると何かがないとしゃべれなくて。会話を弾ませてくれる、こんなスイーツがあると、ホッとするんですよねぇ」

一度だけの出会いも笑顔で過ごす、そんなひとときを重ねていくことが幸せ……と話す木村さん。〝和〟を大切にする人だ。

木村多江さん
きむら・たえ 女優
木村多江さん
1971年、東京都生まれ。演技派女優として活躍中。『ぐるりのこと』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞。ドラマ『鍵のない夢を見る』のDVDが10月に発売予定。また、フジテレビ終戦記念ドラマ『玉砕はみとめない、命ある限り戦え』が8月15日(金)21時〜放送予定。



●東京都世田谷区弦巻2・8・17 野本ビル1F ☎03・3429・5497 賚9時30分〜19時(日・祝日は18時まで)、月曜休。添加物を使わない生菓子、焼き菓子、ショコラなどが揃っている。オランジェットとペカンナッツを詰め合わせた「ボワット ブランシュ」は1、640円(税込み)。地方発送も可。http://www.un-sourire.com/
撮影・中島慶子 文・室田元美