第43回「知りたがりの妻……」
2012年4月に桜が咲き、僕ら夫婦にとっての10回目の春。桜を見る度に思い出す。
夜中、目黒川沿いで妻が急に腹痛を覚えて、仕方なく「のぐそ」をして、そんな妻を体を使って隠した僕。夫婦にとって初の共同作業。あの春からもう10回目なんですね。
今日はそんな妻の、10年経ってもちょっと理解出来ないことを書こうと思います。
10年前、結婚したてのころ、妻は下着をうちの洗濯機で洗い、家で干すことすら恥ずかしいと、コインランドリーに行っていました。そんな妻が、今ではお互い「隠す」ことを嫌がります。
夫婦によっては、夜の営み以外では、裸を見せることを嫌がる夫婦、いますよね? 夫の前で着替えるところを見せるのは嫌だとか。それを望む夫もいます。うちは、お互い、堂々と着替えます。妻は僕の前で堂々と全裸になり、着替えます。ある意味男らしいところまでいってます。だけど、妻の全裸からの着替えは、なんだか熊の行水見たいでかわいいのです。だから好きです。夫婦でお風呂に入る夫婦もいれば、絶対それをしない夫婦もいますよね。うちは平気で入ります。お互い、目の前で屁もします。ハナクソもほじります。
妻は食事中に僕の前でゲップもします(さすがに僕は注意しますが)。普通の女性だったら隠すところを堂々と見せつけます。隠すのが嫌らしいのです。好きになった以上「全部知りたい、知ってほしい」というのが妻の考え。
そんな妻に、僕が困っていることがあります。僕が家のトイレで用を足してる所も平気で入ってくるのです。おしっこしようとトイレに入る。すると妻が走ってトイレに入ってくる。じっと見つめて「GO! !」と叫ぶ。初めてこれをやられた時には、なんだか出るものも出ませんでした。おしっこする時くらい一人にしてくれないかな? と求めると、妻は怒りました。「ムーの全てを知りたいんだよ」と。
うちはお風呂と洗面所とトイレが一緒になってます。例えば、僕が洗面所で歯を磨いてるとする。すると妻が入って来て、平気でズボンを脱いで、おしっこを始める。 これが夫婦にとって普通なのか、普通じゃないのか分かりません。が、妻は隠したくないというのです。私のことも全部知ってほしいと言います。知らなくてもいいこと、あるんじゃないか? と思うのですが、妻は知りたいし、知ってほしいのです。
お小水だけならまだ良かったのですが、結婚して数年たったある日、僕はトイレに入り、用を足していました。Big or Smallで言うと、Bigの方です。嫌な予感がしていました。その頃、おしっこをする所まで知りたいと言っていた妻です。僕は扉の鍵をかけました。すると、事件は起きました。トイレの前の廊下に妻が近づいてくる音がします。「ムー? ムー? どこ?」と。僕が「トイレ」と言うと、妻は言いました「見せて! !」と。「は!?」と答える僕。妻は「ムーが頑張ってうんこしてる姿も妻として知っておきたい」と言いやがったのです。いやいやいや。そこまで知る必要ないでしょ。
僕は恥ずかしい思いが勝ち、「嫌だ」と拒否しました。妻は「見せろー」とトイレの前で叫びます。「嫌だって」と拒否する僕。妻は、僕のことを人質を取って籠城する犯人のように追い詰め始めました。扉を手でどんどん叩き「開けろー! ! 開けろーーー」と言うのです。
そこまでされると余計に開けたくありません。「絶対嫌だから」と拒む僕。妻の行動が気になりすぎてなかなか用を足せません。しばらくドンドンドンと扉を叩く音が聞こえていました。しかし、少し経つと音が消えました。やっと戻っていったか…と思ったのも束の間。扉の向こうから妻の声が聞こえました。しくしく泣く音。そう、泣き声。妻は扉の前で泣いているのです。僕が「大」をしてる姿を見せるのを拒んだことを悲しみ泣いているのです。えーーーーーーーーーーー!?? そんなことで泣く!?? 妻は泣きながら呟きます。「悲しいよ。ムーのことなんでも知りたいのに。ムーは隠したいんだね。悲しいよ」と泣きます。僕の中では理解不能です。だけど、妻を悲しませていることには変わりありません。
僕は覚悟を決めて、扉の鍵をガチャっと開けて、自らの手で扉を開けました。そして親にも見せたことない姿のまま、言いました。「もう、見ろーーーーーー!!!」と。
その瞬間、笑顔になる妻。「やったーーーーーーー」と。宝探しで宝を見つけた子供のように、僕の恥ずかしい姿を見て目をキラキラさせています。本当に本当に恥ずかしい。
結婚10年目の今。妻は、僕が洗面所で歯を磨いてると、パンツを脱ぎ、Smallだけじゃなく、平気でBigもします! 全てを知ってほしいからと言います。僕はいまだに、妻に抜き打ちチェックのように、Bigをしてる所をトイレに入って来られます。そして言います。「いいね、いいね~~~」。何がいいのか全く分かりません。愛してる人のことは全て知りたいと言い切る妻。そのうち僕のレントゲンや胃カメラの映像まで見たがったりするのか?? 世の中の女性も、知りたいのだろうか? ここまで!
結婚してずっとお互いのことを知りたいと思い続けること、それが愛!
思いますが、互いをさらけだす関係は素敵です。
おさむ夫妻の緊密な関係っぷりは
単行本『ブスの瞳に恋してる』シリーズにて!


