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第107回「僕ら夫婦の人工授精体験」

ブスの瞳に恋してる♥ 妊活ダイアリー

イラスト・ヤマザキマリ
イラスト・ヤマザキマリ

第107回「僕ら夫婦の人工授精体験」

2014年9月19日でした。僕は朝9時に起きました。病院に行けなかったので、一人でオナニーして、それを妻に持っていって貰うことにしました。透明の容器に入れて持っていって貰うのですが、この時に、奥さんが腋の下に挟んで冷たくならないように持っていかないといけないとか、そんな噂も聞きましたが、妻が通っていた病院では、「そんなことはない」と言われたらしく、僕がオナニーして「採取」してから二時間後くらいには病院に持っていったと思います。

持っていった精子を、すぐにチューブで子宮に注入! というわけではなく、その前に病院側の作業。僕のその日の精子の運動率は43%で高くはありませんでした。まあまあ低いほうになるんでしょう。僕は何度か検査も兼ねて見てもらいましたが、やはり運動率が低いみたい。

妻が通った病院の人工授精の方法は、洗浄濃縮法といって、精液と培養液を混ぜて、遠心分離機に2回かけて、精子を培養液で洗い精液の粘りを落とします。粘りが取れることによって、僕の精子の運動率は43%からなんと75%にアップしたんです。僕のようにアップする人もいれば変化しない人もいるそうです。

最初の病院では、精子の検査表に奇形の場合は奇形率と書いていましたが、この時に通った病院では、奇形率を特に問題があった場合以外はあまり問題にせず、体温表にも書かないみたいです。無用な心配や不安にさせたくないとのこと。こういうところも病院一か所ずつ、違うんですよね。

人工授精の洗浄濃縮法というのは、つまりは精子を洗って普通のSEXより何倍も濃くして子宮に入れるという方法。これを行いました。2014年9月19日。鈴木夫婦にとっての初めての人工授精。

洗浄濃縮法でアップされた僕の精子をチューブで妻の子宮に注入です。これはほんの数十秒で行われ、痛みもないそうです。注入後、ベッドの上で10分~15分、腰を上げ気味で安静にする。これで終了です。人工授精というのは、たったこれだけ。セックスだとお互いが抱き合い、挿入し、腰を振り、とあるけど、人工授精はとてつもなくあっけない。

人工授精や体外受精の罪悪感。人工授精は精子を病院で子宮に注入するので、人によってはこれを「院内セックス」と表現する人もいます。院内セックスって言葉、最初聞いたとき、なんか衝撃でした。人工授精と見事なまでに表現している。が、そこに漂うネガティブ感というか。院内セックス。そこに旦那さんは存在しているようで存在してないんです。だからなんでしょうね、人工授精などに対して、旦那さんが罪悪感を感じるのは。セックスという行為で自分が射止めてない感というか。だからなのかもしれない。

人工授精を行う日。僕が精子を一人で採取する(オナニー)の一時間ほど前。僕らはHをしました。これは妻からの提案でした。人工授精の日に、Hをしたいと。病院の人たちの力は借りるけど、そこに僕たちの気持ちは入っているのだと言いたかったのでしょう。この妻の提案はすごくいいなと思いました。「院内セックス」と言われるものに対して、そこに、夫婦のセックスは存在していて、ゴールを病院に手伝ってもらうという形。だからね、この妻の提案のせいか、僕の中では人工授精をしたということに対して罪悪感は全くありません。

妻の提案に本当に感謝しています。

ちなみにですが、病院に持っていく精子が薄まってしまうといけないので、そのHでは、僕は射精はいたしませんでした。で、しかも、あとでネットで検索したところによると、人工授精の前にセックスをしてはいけない的な記事を沢山見ました。ただ、これはそこで射精すると、やはり病院に持っていく精子の量などが減ったりしてしまうからのようなことが多く書かれている気がします。女性の体にも影響は出るのだろうか?

逆に人工授精した日に、セックスをしたという記事はネットで沢山見つかりました。人工授精プラス、そこにセックスで追加するということでしょうか。ただ、これは病院によって意見が違うみたいなので、通っている病院で聞いたほうがいいとは思いますが、個人的には、人工授精した日に夫婦でHするというのも、すごくいいと思います。ただ、そこに対して、旦那さんがノってあげなきゃいけません。先ほど、旦那さんの罪悪感と書きましたが、人工授精というものに対して、妻は夫以上に様々な不安を抱いているだろうし、旦那が抱く罪悪感の数倍のいろんな感情を抱くはずなんです。

だからね、人工授精の前とか後にHという表現で妻を包んであげる。お互いを包みあうことで、そこに愛の塊ができるというか、なんか、それが大事な気がするんです。

例えば、病院では人工授精のあとにセックスすることを却下されたとしたらね、その日にね、ベッドで旦那さんが奥さんを裸で抱きしめるだけでもいいと思うんです。言葉じゃなく、体で伝え合うというか。体で包んであげるというか。

人工授精や体外受精への罪悪感。まず旦那さんが、それを自分なりの愛情で包んであげることが大事で、それがあれば、絶対に罪悪感は消えていくんじゃないかと思う。

人工授精をやってみて、改めて思う。妊活とは妻だけのことじゃない。夫婦二人で行うことが妊活である。心のケアまで含めてね。


 
今回の格言
人工授精・体外受精への夫の罪悪感を取り払おう!
妊娠がわかって、お祝いメッセージがあちこちから届いています。妊活中の方には、大変心強いですね。次回もぜひお楽しみに。おふたりのハッピーな結婚生活の実話は、単行本『ブスの瞳に恋してる』シリーズ(1~4)にも!



鈴木おさむ
放送作家。妻・大島美幸(森三中)の妊活休業から出産までを、詳細につづった単行本『妊活ダイアリー From ブス恋』が大人気。育休ならぬ、「父勉」(父になる勉強)中。既刊『ブスの瞳に恋してる』シリーズ1~4。