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第108回「人工授精一回目で、なんと懐妊!」

ブスの瞳に恋してる♥ 妊活ダイアリー

イラスト・ヤマザキマリ
イラスト・ヤマザキマリ

第108回「人工授精一回目で、なんと懐妊!」

2014年2月15日。妻が妊娠したことを世間に報告させていただきました。妊娠が分かったのは2014年10月。人工授精により、妊娠することが出来たのです。

タイミング法を二回行い、そこから人工授精に移行し、一回目の人工授精での妊娠。2014年、9月、10月、11月、12月と、年内は人工授精でやってみて、それでダメだったら2015年から体外受精をやってみようと話していました。人工授精の成功率とか考えると、一回で妊娠できるとは思っていませんでした。

だから驚きました。妻の場合は、妊活休業に入り、子宮筋腫の手術をして、仕事も休み、体もメンタルも整えていたから、一回目の人工授精で妊娠することが出来たのかなと思ったりしています。

正直、妊娠検査薬で妊娠が分かった日、嬉しい気持ちも当然ありましたが、複雑な気持ちもありました。妻は過去に二回流産しています。二回とも自然妊娠で、しかも二回目の妊娠の時は双子の子でした。3人の子供の命が妻のお腹に宿ったという経験。

この経験から、今回の妊娠を聞いた時に、嬉しい気持ちもある反面、正直、また妻に悲しい思いをさせたくない! という気持ちが大きかったのも事実でした。おそらく僕以上に妻の方が、その気持ちはあったはずです。一回目の妊娠の時には、検査薬が陽性だとわかった瞬間、ただただ二人で大きな声を出して喜んで抱き合ったのを覚えています。悲しい経験というのは人を臆病にします。だけど臆病は悪いことではありません。臆病になることによって、より慎重になるし、慎重になることによって、勉強をしていきます。

何回か考えました。一度も悲しい経験がなく、妊娠して出産したら、もちろん不安はあるとは思いますが、悲しい経験をした人たちよりは、臆病にはならずに済むのかなとか。だけど、そういう経験があるからこそ、特に、旦那さんが慎重になれるはずだし、一日をゆっくり噛みしめていけるんじゃないかと思うんです。

今回の妊娠がわかり、とにかく安定期が来るまで時間が経つのが遅かったんですよね。それまで、お腹の子供のことももちろんですが、まずは妻に悲しい思いをさせたくない自分がいる。「もし、そうなったら、妻になんて言ってあげよう」とネガティブシミュレーションしてしまう自分がいる。だけど、そういう気持ちがあるからこそ、一日ごと「今日は大丈夫だった」とスタンプを押されている気がして、それがうれしい。

2014年年末に安定期に入り、そして、2015年2月3日、僕の後厄が終わってから世間に発表するのがいいとアドバイスを受けました。これは、偶然にも、易学に詳しい人とか、人の気を見るマッサージ師さんとか鍼の先生とか、みんなが「2月3日以降がいいよ!」と言ったので、こういうのは信じようということで厄明けにしたんです。

世間に発表するときに、妻と話して、人工授精による妊娠であることも言うことにしました。

発表前、知人にそのことを話した時に「そのことまで言わない方がいいのではないか?」という人も周りにいました。その気持ちもわかります。だけどね、妻が妊活休業と世間に公表し、妊活を行っている以上、隠すことではないと思い、発表しました。何かの力を借りての妊娠でも、その時にお互いを愛しむ気持ちがあるかどうかが大切であり、だから、僕らには罪悪感もなければ、後ろめたい気持ちもまったくありません。もし、世間で、人工授精、体外受精による妊娠で、少しでも後ろめたい気持ちを持っている人たちがポジティブになってくれたらいいなと勝手に思ったりして。

このエッセイを書いているのは2月15日の夜です。これから世間に発表になります。

そんな今の気持ちを書きます。

妻へ
ようやく今日、世間に発表することが出来るね。今まで妊娠した時に世間に発表したのは悲しい時だったね。だけど今日は嬉しい報告が出来るね。
三度目の妊娠で、初めて母子手帳も受け取ることが出来たね。毎日、胎動を感じた時に、みぃが「今、動いてるよ」と嬉しそうに報告してくれる顔が僕は大好きです。
これから出産予定日まであと4か月近くあるね。
妊娠がわかってから、しばらくはその実感がわかなかったけど、最近ようやく感じています。
二人じゃなくてもう、三人なんだなと。みぃがママに、僕がパパになるまでの準備期間。
不安がないかと言われれば、そんなことはない。だけど、僕以上にみぃの方が不安は大きいはずです。その不安が少しでも希望に代わるよう、毎日を大切に大切に、過ごしていけますように。
みぃが元気に元気な赤ちゃんを出産できますように。
おさむ
2015年2月15日 夜


 
今回の格言
不安は希望に変えられるはず
2回の流産を乗り越えてきたからこその喜び。テレビで妊娠が発表になった2月15日は、もうひとつの特別な記念日ですね。おふたりの愛情あふれる結婚生活の実話は、単行本『ブスの瞳に恋してる』シリーズ(1~4)にも!



鈴木おさむ
放送作家。妻・大島美幸(森三中)の妊活休業から出産までを、詳細につづった単行本『妊活ダイアリー From ブス恋』が大人気。育休ならぬ、「父勉」(父になる勉強)中。既刊『ブスの瞳に恋してる』シリーズ1~4。