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ブスの瞳に恋してる♥ 第119回「思わぬ炎上に学ぶ。」

イラスト・ヤマザキマリ
イラスト・ヤマザキマリ

2015年6月22日に妻が出産し、翌月、イッテQで妻がCCDカメラをつけて出産するシーンが放送になりました。放送後、沢山の温かく熱い感想が届いたのですが、放送するまでの一週間がなかなか大変でした。自分でも、こんなことあるのかという想定外の流れに慌ててしまいました。何が起きたかと言うと。

番組で放送する一週間前に、次週の放送で妻の出産シーンが放送になることの予告が流れました。その予告を受けて、僕がブログで、書いたわけです。出産時にCCDカメラを付けて出産していたことを。

そしたら、色々とネットを中心に炎上しました。きっかけはあるニュースサイトの記事。ある人の「産めない人への配慮が足りない」と言う言葉が大きく書かれていました。妻がCCDカメラを付けて出産するシーンをゴールデン番組で放送することは、子供を産めずにいる人への配慮が足りないというのです。正直、ビックリしました。放送することにおいて、クレームする人もいるだろうと思ってはいましたが、自分の想像を超えていました。バッターボックスに立ってたら、デッドボールが後ろから来たみたいな。

もちろん妻はふざけているつもりなんてないし、産むことを自慢するつもりもありません。

ただ、女芸人と言う仕事をしていて、自分しかできないことを行い、それで何かを伝えることが出来たらと思っていたはずです。

そして、クレームを言ってきた人の中には「テレビでやることじゃない」と書いてる人もいました。その言葉には納得できない物がありました。じゃあ、テレビでやることって何なんだ? と。テレビがつまらなくなった。どこでも同じことばっかりやってる。そういう声が多く届くし、納得する部分もある。そんな中で、妻が出産する時にはCCDカメラを付けて産みたいと願い、テレビ局のスタッフだって、出産する時に何が起きるかわからないから、それをOKする時点で結構な勇気がいったわけです。でも、誰もやったことがないそのことでバラエティー番組として何か伝えられたらと思ってくれたはずなんです。

そんな中で、「炎上」。「産めない人への配慮が足りない」と言われると、それに対して返せる言葉はありません。

放送するまでの間に、その「炎」はどんどん大きくなっていきまして。内心「放送できるかな」と思ってる自分もいました。

そんな時に、ある方が、ツイッターで、この件について自分の意見を書いてくれたのです。それは乙武洋匡さんです。

乙武さんは、一部のネット記事「出産まで芸にするのは気持ち悪い」「産みたくても子供を産めない多くの女性に対して何も配慮がない」というネットユーザーの厳しい声を見たらしく、そうした非難を伝えるネット記事のリンクとともに、「すごい言いがかりだな」と一言。そのあとのつぶやきが「『健常者をテレビに映し出すなんて、手足のない人に対して配慮がない!』とか言う人が出てきたらどうするんだ(笑)」と。

この乙武さんのつぶやきを見た時に、泣きそうになりました。子供が産まれて、人生が大きく変り始めて、幸せに浸っている中でのいきなりの炎上。幸せと言うものをエンターテイメントでくるもうとするときに、ここまでの炎上。しかもね、怒ってた人はほんの一部だったのにね、それをネットニュースとして届けるメディアがある。ネットニュースの噂って、もはや噂が噂じゃなくなる部分まできてるわけですよ。ニュースのまとめサイトとかだとトップニュースでは国会で決まったことと、殺人事件と、芸能人の噂なんかが同列で並んでたりする。そこにね、炎上ニュースなんかが並ぶと、ろうそくの炎だったものがガソリンスタンドの大爆発みたいになって、信じてしまう人が多くいたりして。

だから、炎上後に、その火がどんどん大きくなってきた時に、一度気持ちが折れそうになっていました。だけど、乙武さんの呟きでその炎が一気に吹き飛んだ。今回の件で、言葉の怖さも感じたけど言葉の強さも感じた。

が、妻は、乙武さんが吹き飛ばしてくれる前にも、ネットで炎上していることに1ミリの興味はなく。自分が正しいと思ってやってるからいいんだ! 見てくれたらわかる! と言いきっていました。母親になり、ますます自分の意見が太くなった妻。体が痩せた分、根性がさらに太ってどっしりしたのか? 母強し。

そして乙武さん、本当にありがとうございます。

そしてそして最後に。このHanakoのエッセイで妻の妊活のことを沢山書いてきましたが、それをまとめた本が『妊活ダイアリー from ブス恋』という名前で発売になります。

是非見ていただきたい! でも、この本で炎上しませんように(笑)。


 
今回の格言
産んだ後の母の根性は太くなる
『妊活ダイアリー from ブス恋』、いよいよ9月10日発売! 9月12日には、ジュンク堂池袋本店で著者サイン会もあります。詳しくは書店さんのホームページでご確認ください。既刊『ブスの瞳に恋してる』シリーズ(1~4)も絶賛発売中です。



鈴木おさむ
すずき・おさむ/放送作家。妻・大島美幸(森三中)の 出産までをつづった『妊活ダイアリー From ブス恋』「ブス恋シリーズ1~4」が人気。初監督作(脚本も担当)となる映画『ラブ×ドック』は2018年全国ロードショー。