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ブスの瞳に恋してる♥ 第136回「初めての言葉の意味」

イラスト・ヤマザキマリ
イラスト・ヤマザキマリ


我が息子、笑福が産まれてから11カ月が過ぎました。9カ月からの成長がすごいよと言われてはいましたが、本当にすごいんですね。まあ人それぞれ、個人差はあるかもですが、ソファーの端などを掴んでつかまり立ちをし始め、一度覚えると、何度もする。そしてそのうち、ソファーを掴みながら歩く、俗にいうつたい歩きというやつですね。するとつかまり立ちをしながらジャンプしたり、窓に手を当てて立ったり、もうちょいで完全に立ちそうな雰囲気。そんな息子を見ていると人間の進化を見ているような気がします。

一度覚えたことを嬉しそうに何度もする。つかまり立ちを覚えると何度も何度もやって嬉しそうにする。自分もこうだったのだろうかと思う。

今となっては立つことも歩くことも走ることも「当たり前」ですが、子供のその成長を見ていて、立ったり歩けることに感謝したりする。北斗晶さんがブログで「ありがとう」の反対が「当たり前」だと書いていた。闘病中の北斗さんのこの言葉は重く、当たり前にできてたことが当たり前じゃなくなり、感謝する。そんな言葉を見ていたせいもあって、笑福の成長を見て、自分が今当たり前にできていることを当たり前と思わずに感謝しようと、そんな気持ちにさせてくれる。

肉体的な成長もさることながら、10カ月を過ぎて言葉を覚え始めました。最初に覚えた言葉。それは「まんま」です。ご飯を「まんま」と覚えて、お腹が減った時は「まんま」と言うようになった。この一言ってすごいなと思うのは、赤ちゃんが初めて言葉で自分の欲求を伝えられるようになるってことなんですよね。食欲は人間の本能ですから。一番大事な欲ですから。やはりそこから覚えるのだなと。前はお腹がすいた時は泣くことで表現することしか出来なかった。喉が渇いた時も「まんま」と呼ぶのですが、この「まんま」のたった一言で、コミュニケーションがかなり広がりました。

ちなみに、「マ行」と「パ行」を最初に覚えるのだなと気づきました。やたらと「マ」と「パ」を言います。なので「マ」を二回続けて言うと「ママ」、「パ」を二回続けて言うと「パパ」なのですが、赤ちゃんにとって「マ」と「パ」って言いやすいのでしょうか?

ここで一つショックなことを発表しましょう。子供が最初に覚えた言葉が「ママ」とか「パパ」という人が多いですが、多分勘違いが多いと、僕は思っています。なぜなら、うちでは「ママ」と「パパ」ではなく「お母ちゃん」と「お父ちゃん」と呼ぶように教え込んでいます。が、当然難しい言葉なので、まだ言えません。そんな中に「ママ」と「パパ」と言ったのですが、最初は「あれ? 今、ママって言った?」とか「パパって言った?」と喜んだのですが、妻と冷静になり会議を開きました。鈴木家「赤ちゃん言葉会議」です。うちではママ、パパと教えてないので、勘違いだろうと。言いやすいマを二回続けてママと聞こえ、パを二回続けてパパと聞こえる。そう教えていないのだから、これは違うと。だから仮にママ、パパと聞こえても、それは我が家ではノーカウントとしています。

先日、知人が家に来て、笑福が喋っているのを聞いて「あれ? 今、ママって呼んだよね?」と嬉しそうに言ったのですが、「我が家ではお母ちゃん、お父ちゃんと教えているので、ノーカウントです」と妻が冷静に言いました。知人はそのストイックさに驚いていましたが。

笑福が「まんま」の次に覚えた言葉。それは「ねんね」です。眠い時、抱っこしてほしい時を「ねんね」と言うようになりました。やはり食欲の次に人間は睡眠欲です。

余談になりますが、僕のブログの読者がある日のコメントで書き込んでいました。愛する旦那が病気で死んだ。病室で何日も看病し、そして亡くなり失意のどん底に落ちたまま、一度家に帰宅し、最初に心から思ったことが、「やっと寝られる」だったと。睡眠欲は食欲の次に人間が欲する欲なんです。だから赤ちゃんもその欲通りに覚えていくのだと勉強。
じゃあ、次は何か? そろそろでしょう。「お母ちゃん」と「お父ちゃん」。何度も繰り返し教えてはいるのですが、ハードルが高いのでしょうね。

ある日、妻が笑福を抱いていると、部屋の電気のボタンを押して、消してしまった。そして再び押すとついた。妻が笑福の行動に合わせて何度か「ついた」「消えた」と言っていたら、笑福がなんと「ツイタ」「キエタ」と覚えてしまいました。

我が息子、笑福が覚えた言葉は「まんま」「ねんね」の次に「ついた」「きえた」でした。なぜにこれを覚えてしまったのかわかりませんが、こうやって笑福が言葉を覚えながら思ったことが一つ。

僕は英会話を何度かチャレンジして挫折しています。けどね、赤ちゃんがたったいくつかの言葉しか覚えてないのにコミュニケーションが出来るわけです。だからね、伝えようと思って本気で覚えればいくつかの会話でもやっていける。けど、それを恥じらう。それが大人。

恥を捨てて英語、やってみようかなと思ったりして。

赤ちゃんの成長って、いろんなことに気づかせてくれますね!!


 
今回の気づき

赤ちゃんの成長は自分の弱点に気づける機会である。
わくわくする子育ての始まりは、妻の妊活休業からだった。出産までの日々をつづった単行本『妊活ダイアリー From ブス恋』、大好評発売中。既刊『ブスの瞳に恋してる』シリーズ(1~4)も併せてお楽しみください。



鈴木おさむ
放送作家。妻・大島美幸(森三中)の妊活休業から出産までを、詳細につづった単行本『妊活ダイアリー From ブス恋』が大人気。育休ならぬ、「父勉」(父になる勉強)中。既刊『ブスの瞳に恋してる』シリーズ1~4。