マガジンワールド


ブスの瞳に恋してる♥ 第141回「叱り方に正解なし!」

イラスト・ヤマザキマリ
イラスト・ヤマザキマリ


子供への叱り方。これは非常に難しい。正解がないからだ。だけど、自分のやり方をみんなの正解だと思いこんでいる人も少なくない。「厳しく怒ってはいけない」「口で注意しても意味がない」とか。それを聞いていて思うのは、子供ごとの個性もあるし、環境もあるし、そのやり方がみんなの正解ではないということだ。やっかいなのは「今の科学で分かったのは」と科学を持ち出してこられた時。科学だって日々更新されているから絶対の正解ではないと思っている。

うちの家はうちの、妻は妻のやり方を見つけだして、息子・笑福に叱ったり注意するべきだと思っている。と書いたところで、今回は妻の叱り方について。息子・笑福が一歳になり、妻が最近、笑福を叱りだした。一番はテレビ画面を叩く時だ。笑福はテンションが上がるとテレビの画面をバンバンと叩く時がある。これ結構あるあるのようだが、子供の力は強い。これによりテレビが壊れたって人も少なくない。

笑福がテレビの画面をバンバン叩くと、妻は笑福に向かって、大声で「コラーーー!」と叱る。かなり大きな声だ。この声で叱るのはテレビの時だけかもしれない。他にもやってはいけないこと、やめてほしいことは沢山するが、まずは、テレビの時だけキチンと叱る。その声はさすが芸人、かなりの声量だ。「コラーーー!」と叱る。伸びる。が、残念ながら息子は笑ってしまう。正直、妻がテレビで「コラーーー!」と叱ったら笑ってしまうだろう。そこも芸人。怒る顔もどことなくおもしろい。子供は見抜いてしまうのだろう。しかし、テレビを叩く度に、妻が大きな声量とまじめな顔で叱り続けていたら、最近はだめなことなんだと気づいたらしく、嘘泣きするようになったのだ。それもわかりやすい嘘泣き。その嘘泣きの顔。なんかに似てるなと思ったら、妻がテレビで見せる嘘泣きの顔だった。妻が黒沢と相撲を取り、ケツを出されて投げ飛ばされた後に見せる嘘泣き。その顔にそっくりなのだ。息子が嘘泣きした顔で妻もつい笑ってしまい、妻が笑うので結局息子も笑ってしまう。叱るのって難しい。

もう一つ。妻が叱る。というか注意することがある。言葉を覚え始めた息子は、ご飯のことを「まんま」と言うのですが、ご飯以外のことも「まんま」と言う癖が出始めた。まんまじゃないけど、まんまに見えるのかもしれない。

50センチくらいの象のぬいぐるみがある。かなりリアルなぬいぐるみで、誕生日にいただいたものなのだが、こういうリアルなものは笑福は怖がる傾向にある。一度だけ試しに見せてみようと思って見せたら、なんと象の人形に「まんま」と言い出した。やたらと握る。なんだろう。でかいおはぎにでも見えるのか? 妻が「まんまじゃないよ。象だよ」と何度も言うが、「まんま」と言い続ける。

もう一つ。うちのテレビはネットとつながっていて、テレビをつけるとすぐに地上波になるのではなく、YouTubeとかHuluから、いろいろとおすすめをしてくれる。一番はYouTubeのヒカキンをおすすめしてくれることが多いのだが、ある日テレビをつけると、とあるユーチューバーのチャンネルをおすすめしていた。そこにうつっていたのが「うんち」だった。リアルな模型の「うんち」を作ったのか? デフォルメのうんちではなく、リアルなうんちの模型のようだ。それを見つめる、息子、笑福。すると、そのうんちを指さして、なんと「まんま」と言った。「うんち」を「まんま」と言ってしまった。それを聞いた妻は「いや、たしかに間違ってはないけど……」と言いながら、画面の「うんち」を指し「まんまじゃなくて、うんち」と何度も言うが、「まんま」と言ってしまう笑福。

そのうち温度が上がり、声、大きめに「まんまじゃなくて、うんちでしょ」と言う妻の顔を見て、笑ってしまう笑福。やはり。間違いを正すのも難しい。

どうでもいい話だが「うんち」は肉や魚などのタンパク質が消化吸収を経て排泄されたもので、「うんこ」は野菜や穀物のみが消化吸収を経て排泄されたものという説もあるらしく、人間は雑食だから「うんち」を排泄している。妻が「うんち」とただしているのは正解だった。

結局。叱るのも注意するのも、そこに「愛情」があるかどうか。一回ずつの叱りや注意をつい感情だけでやりがちだけど、その叱りや注意の一回ずつに、愛情を持って出来るかどうかなんじゃないかと思う。

少なくとも妻の「うんち」には愛情と優しさがこもっている気がする。


 
今回の気づき

子供の叱り方に正解はない。自分で探すしかない。
妻の妊活休業から出産までの日々を、夫の立場で詳細につづった単行本『妊活ダイアリー From ブス恋』好評発売中。既刊『ブスの瞳に恋してる』シリーズ(1~4)も併せてお楽しみください。



鈴木おさむ
放送作家。妻・大島美幸(森三中)の妊活休業から出産までを、詳細につづった単行本『妊活ダイアリー From ブス恋』が大人気。育休ならぬ、「父勉」(父になる勉強)中。既刊『ブスの瞳に恋してる』シリーズ1~4。