マガジンワールド


ブスの瞳に恋してる♥ 第147回「家庭内◯×クイズ」

鈴木おさむエッセイ ブスの瞳に恋してる♥ 第147回「家庭内◯×クイズ」

 
イラスト・ヤマザキマリ
イラスト・ヤマザキマリ


人生には小さな○×クイズが沢山あります。日々目の前に現れる○×クイズに答えないといけない瞬間がある。例えば会社で、髪の毛を切った女性がいる。でも明らかに前髪切りすぎた感じがする。女性は切った髪の毛を褒められた方が喜ぶものだと思っているが、明らかに前髪切りすぎ。さあ、これは褒めるべきかどうか? どっちが正解? 褒めてみる。その瞬間、「すごく気に入ってないんですよ」と悲しげな顔をする。人によっては「それ、セクハラですよね」とでも言ってくるかもしれない。このクイズの正解は×。

飲み会で自分の上司がその部長の愚痴を話し出した。さあ、この時に、部長の文句に乗って自分も一緒に文句を言うのが正解? 〇か×か? たいていは乗る場合が正解となるが、たまに「お前はそうやって平気で部長の文句を言うってことは、俺のことも陰で言ってるだろ?」と疑われる場合があるから難しい。

こんなことを経験した僕の知人もいる。社内の後輩女性と飲みに行ったら、やたらと「私、恋したいんだよね」と言って、お酒に酔ってベロベロになった。酔った勢いもあってか、やたらとベタベタしてくる。この時、この誘いとも思える行動に乗った方がいいか? どうか? 正解は×。その知人男性、見事に誘いに乗って女性にキスしようとしたら……実は上司の不倫相手だったことを知らされる。難しい~~~!

結婚すると、家庭での○×クイズはどんどん増えてくる。出題者は妻たった1人なのに、意外と正解出来ない。そしてそのせいで妻はイライラする。例えば、我が家で実際にあった○×クイズ。キッチンのゴミ袋がパンパンになっている。妻は僕にイライラする。「たまには自分で気づいて捨ててよ」と。ある時、パンパンのゴミ袋に気づき、たまには捨てようと思って、捨てに行く。すると妻がそれを知って「まだ入ったのに~~」と。僕から見たらそのパンパン具合に違いはないが、妻から見たら、まだ入るというジャッジ。○×クイズに不正解で終わる。

夜中、妻が疲れて寝ていた。僕がお風呂にお湯を張ってお風呂に入る。そして入った後にお湯を抜く。と妻が起きてきて「私、まだ入ってなかったのに」と。かなり不機嫌。その時、心の中で思う「お風呂入ってないなんてわからないもーーん」と。だけど妻からしたら、そういう空気に気づいてほしいということだそうだ。そんなクイズ、正解出来ないよーーー!

こんな難しいクイズもあった。妻が作ったご飯を食べる。正直、味付けがイマイチだった時があった。妻は自分で気づいていたらしく「もっと味が濃くても良かったよね」と言ったので、「そうだね」と言うと、寂しげな顔。やっちまった。こういう時は「そんなことないよ。おいしいよ」と小さな嘘をつくのが正解なのだ。人は嘘をついてはいけないと教わってきます。だけど、時には嘘も必要なのだと、こういう時に痛感する。落ち込んだ妻のテンションを上げるのは大変だからね。

そして。息子、笑福を授かってから、その○×クイズはさらに難しくなった。

ある日、夜中、僕が仕事から帰ってくると炊飯ジャーにお茶碗一杯分のご飯が残っていた。妻は毎朝ご飯を炊いているので、もったいないから食べちゃったほうがいいだろうと思い食べてしまう。すると朝起きた妻。「あれ? ご飯食べちゃった?」と。僕は「うん」と答える。すると妻は「なんだよ~。一杯分、チャーハンにして笑福に食べさせようと思ったのにぃ」と深いため息。そこで思う。「そのクイズには正解出来ないよ~~! だっていつも、ご飯が余ってたらおにぎりにして食べちゃおうか? とか言うじゃ~~ん。何でその日だけチャーハンにしようと思ったの~~」と。どんなクイズ王でもそのクイズには正解出来ない。

最近出題された一番難しいクイズはこれだ。夜、僕がお風呂から出てくると、バスタオルがかかってるところに子供用のタオルがかかっていた。

10分ほど前に、妻が笑福をお風呂に入れたため、その子供用タオルは濡れている。僕は大人用のバスタオルを出して、体をふいて、そこにかける。すると、それを発見した妻が、その僕が使ったタオルを見て「なんで新しいタオル出すの~? ここにタオルかけてあるでしょ~」と言った。さすがに僕が「いや、これ笑福のでしょ」と言うと「これで十分、ふけるじゃ~~~ん」と言った。確かにふける。ふけることはふけるけど、小さめだ、それに笑福の体をふいたから濡れているのだ。それを言おうとした時に「誰が洗濯するのよ~~~」。とこの一言を言われると、もう反論禁止。確かに、その通り。すべて洗濯をしてくれるからだ。絶対正解出来るわけないクイズだが、不正解したので謝る「ごめんね」と。昔、意地悪なぞなぞというのがあったが、まさにその域にも入ってきていると勝手に思う。だけど息子が我が家の中心になってくると、夫にとってはクイズも結構不条理になってくるのだろう。

だけど、どんなに難しい問題でも、旦那はこのクイズの正解率を上げなければいけない。

我が家のクイズ王になりた~~~い!


【今回の気づき】

家庭の〇×クイズは子供を授かるとさらに難問になる



鈴木おさむ
放送作家。妻・大島美幸(森三中)の妊活休業から出産までを、詳細につづった単行本『妊活ダイアリー From ブス恋』が大人気。育休ならぬ、「父勉」(父になる勉強)中。既刊『ブスの瞳に恋してる』シリーズ1~4。