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第85回「俺の嫁は、男っぽい」

ブスの瞳に恋してる
 
イラスト/ヤマザキマリ
イラスト/ヤマザキマリ
 
第85回「俺の嫁は、男っぽい」

2014年早々に、妻が賞を取りました。妻が賞を取ったのは僕と一緒にいただいた「いい夫婦の日 パートナー・オブ・ザ・イヤー」以来でしょうか。妻が取ったのは、「ナイスワイフ賞?」「がんばってる女芸人賞?」……違います。
 
その日、僕はかなり夜遅く家に帰ってきました。妻はベッドで先に寝ていました。僕が寝室に入っていくと、妻は珍しく飛び起きて「見てほしい物があるんだけど」と言いました。いつもは一度寝るとなかなか起きあがることの出来ない、その重い体が体操選手のように軽い。
 
なんだ? 眠気を吹き飛ばすほど僕に見てほしい物って何?
 
妻が50センチほどの薄い箱を僕の前に出してきました。「これこれ」と嬉しそうに開けました。そこには賞状が入っています。「大島美幸様」と書かれた賞状です。
 
そうです。ある協会に表彰されたのです。妻にある物が似合うとされ、表彰です。何が似合うのか? ベストジーニスト? いや、デニムはくとお腹パンパンだから絶対に選ばれないでしょう。メガネベストドレッサー賞? いやいや、メガネかけるとサラリーマンのおじさんみたいな顔になるからそれも絶対に選ばれない。一体何に選ばれたのか?
 
ヒントです。妻と一緒にその賞に選ばれたのが、古田新太さん、いとうせいこうさん、上島竜兵さん、そして妻。一体何か? 妻に与えられた賞とは?
 
賞状には書いてありました。「ベストフンドシスト」と。
 
そうです。妻は選ばれたのです。ふんどしが似合う有名人に。日本ふんどし協会から見事に表彰されたのです。
 
今まで、何度もテレビで黒沢と相撲を取り、ケツを出されて投げ飛ばされて最後に涙を流す。絶対に勝てない力士。涙の女横綱と認められた証でしょうか?
 
ベストフンドシスト。全員40オーバーのおじさんたちに囲まれての受賞です。ちなみに、昨年の女部門の受賞は壇蜜さんです。壇蜜さんは逆にわかる。はいたらセクシーだから。だけど妻は、女として見られたのか? おじさんみたいだから選ばれたのか??
 
だけど、妻は嬉しそうでした。光栄だと。日本ふんどし協会が、映画でも男役を演じた妻に男っぽさを感じてくれたと喜んでいいんですよね? これって。
 
と、以前、妻から聞いたある話を思い出した。
 
妻が新幹線で寝ていたら、カシャッと音がした。目を覚ます妻。すると、ちょっと強こわ面もてのおじさんが妻の寝顔を勝手に携帯写真におさめていたのだ。強面だけど、ダメなことはダメ。ルール違反は許せない。妻は起き上がり、強面のおじさんにかなり強めに言ったそうです。

「今、勝手に写真撮りましたよね? 私が寝てるところ、撮りましたよね?」と。
 
最初はごまかそうとした強面のおじさんでしたが、妻の言葉は強くなり「消してください! 今、ここで消してください」とお説教状態。すると強面のおじさん、いきなり泣きそうな顔になり携帯で撮影した妻の寝顔を出しながら妻に言ったそうです。

「ごめんなさい。寝顔があまりにもうちの息子にそっくりだったんですーーー」
 
えーーーーーーーーーーーーー!?? 息子似ている? 30歳超えている妻の顔が息子に!?
 
その息子さん、もしかしたら今は一緒に住んでないのかもしれない。離婚した妻の子供なのかもしれない。気持ち良さそうに寝ている妻の寝顔を見て息子さんを思い出し、失礼だと分かっていながら、カメラのシャッターをきってしまったのでしょう。
 
泣きそうな顔で訴える強面のおじさんの顔を見て、妻は削除の要請を出来なくなったらしいです。
 
寝ている顔が息子と似てる。そんなことってあります? っていうか、強面のおじさんよ、その息子と顔が似ているのが僕の妻です。
 
男っぽい女性っていますよね。男っぽさを求めて宝塚のようなところに入る人もいます。でも、妻こそが本当に男っぽい女なのかもしれない。時にはおじさんっぽく、時には少年っぽくもある(太った少年)。
 
でも、なぜだろう。妻の男っぽさを褒めてくれる人がいると、なぜか嬉しい僕がいる。「俺の嫁、男っぽいところあるんだぜ」ってなんか格好いいよね。


今回の格言

本当の男っぽさを持つ女性は魅力的である
前回は妻の「行動や心意気」の男らしさの話でしたが、今回は「見た目」の男らしさ。妻が男っぽいのは格好いいのだ! そんな「女の男らしさ」話は単行本『ブスの瞳に恋してる』シリーズ(1~4)にも!