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第99回「ただいま、タイミング法に挑戦中!」

ブスの瞳に恋してる
 
イラスト・ヤマザキマリ
イラスト・ヤマザキマリ
 
第99回「ただいま、タイミング法に挑戦中!」
皆さん、タイミング法って知ってますか? 何のタイミングかと思うでしょ? セックスのタイミングなんです。これは妊活用語です。

妊娠しやすい排卵の時期にセックスをすることをタイミング法と言う。このタイミング法でうまくいかなかった場合、人工授精、そして体外受精とかに進んでいく夫婦は多い。

基礎体温を測って、自分のリズムを知り、排卵日が近づいたらセックスをして、体内で射精する。それがタイミング法。ただのセックスじゃねえか! と思うなかれ。この排卵日が近づいてセックスすることが大事。僕ら夫婦の場合は、子宮筋腫も手術によりだいぶ小さくなった今、まずは、このタイミング法にチャレンジしてみようとお医者さんに言われて、やっています。

妻はもちろん毎日基礎体温を測っていますが、妻の場合は、排卵日が近づいたかなと思う日に病院に行き、検査します。卵胞という卵巣にある卵子を含んだ球状の細胞の集合体が卵胞であり、その卵胞が、受精するのに最適な状態かどうかを検査しに行きます。そしてお医者さんがゴー! を出すと、そこから一日、もしくは二日以内にセックスをして、僕の精子を卵子にねらい撃ちするわけです。まあなかなか狙っては撃てないんですけど。

ネットとか見てると、排卵日の二日前にやったほうがいいとか、いろんな情報がでているので、どれが正解なのかはわかりませんが、僕らは今、妻が先生に体のチェックをしてもらい、先生のゴー! が出たら、セックスして受精をねらう。 

よく考えると不思議なものですよね。本来、セックスって、本能と欲望に任せて行うものだけど、お医者さんのゴー! を待ってからやるっていうんですから。

子供がほしくて妊活に励んでいる夫婦、たくさんいると思いますが、このタイミング法に入り、本当に妊活って夫の努力が大きいなと思う。よく「夫の協力が必要」とか書いてあるのですが、僕は「協力」っておかしいと思うんですよね。子供を作ることって夫婦二人が主人公のものであって、夫の協力……というと、結局、なんか夫が乗り気じゃないみたいな気がしてね。

たとえば、今のうちらの夫婦みたいに、妻が仕事を休業し、僕はいつもと変わらず仕事している状況。僕の仕事は夜も遅く、なかなか日々のスケジュールがわからない。だけど、このタイミング法に入ったからには、妻の排卵日のスケジュールを聞き、スケジュール帳に、何日間か「ラブ」と書き込むようにしています。

お医者さんに行って検査しても、そのベストな日がズレ込むこともあるので、2〜3日の幅を持っておかねばなりません。だからその近辺には、真夜中の仕事、そして飲み会は入れないとか、いろいろ調整します。

一般の人のブログとか見ていると、これが旦那さんのプレッシャーになってくるようですね。僕は「ラブ」と書き込み、ゲームのようにとらえている。妊活をゲームと考えるな! と怒る人もいるかもしれないけど、子供を作ることはプレッシャーだという思いを持たずに、楽しむことが大事なんだと意識しています。

まだ始めたばっかりだから、こういう意識が持てるのかもしれませんが、僕は20代の頃から、実家の借金や、予想外の人生を歩んできたおかげで、自分の人生を客観的に見る癖がついています。だからね、鈴木おさむというプレーヤーは、今月のミッションで、果たして妻とのゲームに成功することが出来るかどうか? と楽しむように、軽く考えるようにしている。

が、実際にタイミング法でチャレンジするとね、そこから妻の一日ずつの様子が気になる。「あれ? 睡眠時間が増えてる。もしかしたら妊娠したのか?」とか一個ずつ期待しちゃう自分がいる。だけど、そうやって期待する自分を出しちゃいけないと我慢したりね。

生理が来ると、妊娠してなかったということになる。妻は生理が来ると、それを伝えるメールをくれます。そこに「残念」とかネガティブな言葉はいっさい書いてなく。常に前向き。だから僕は思う。妊娠すると、Hはなかなかしにくくなりますよね。だから生理が来たということは、「また今月もHが出来るじゃないか」ととらえて、そんなメールを送ったりする。

妊活は期待とそうじゃないことの繰り返し。それを夫婦でどうとらえて進んでいくのかということがすごく大切なんだなーと感じたりして。

それにしても、タイミング法って名前考えた人、すごいね。言いやすいし、清潔感あるし、ナイスネーミング。

このタイミング法を数ヶ月試した僕らはいよいよ次のステップに入っていく。そこに不安がないといったら嘘になるが、どういう体験、そしてどういう心境になるのかということに楽しみな僕がいる。


今回の格言
妊活は夫が「協力」するものではなく、一緒に力を合わせるものである
ちょっとしたタイミングのズレや一致が人生を大きく左右することはありますが、妊娠はその最たるものかもしれません。鈴木家のタイミングの一致を願うばかりです。こんな「タイミング話」は単行本『ブスの瞳に恋してる』シリーズ(1~4)にも!



鈴木おさむ
すずき・おさむ/放送作家。妻・大島美幸(森三中)との子育てもまる3年。長らくご愛読ありがとうございました。連載をまとめた『ママにはなれないパパ』が、絶賛発売中です!