マガジンワールド


From Editors No. 1082 フロム エディターズ 担当編集より

担当編集より

取材から溢れる人情話。
終わる頃にはすっかり涙……。

東京に出て来て以来、東急線在住。なんとなく、中央線は遠いし、文化が違う……。と、吉祥寺も、西荻窪も、あまり訪れたことがありませんでした。そんな私がこの二つの街を比較するページを担当することに。吉祥寺、西荻を代表するみなさまの街への愛を聞けば、きっと私もこの街を好きになるとっかかりが見つかるに違いない! と喜び勇んでインタビューに行きました。

吉祥寺を代表する方といえば、そう、赤と白のボーダーで有名な漫画家・楳図かずお先生。ご自身が「庭」と称する井の頭恩賜公園を歩きながら、この街の好きなところを教えていただきました。取材日も、着てきてくださったのはもちろんあのボーダー。街中の視線をガンガン集めながら、ときには子どもたちに挨拶されながら、飄々とインタビューに答えてくださる先生。「吉祥寺にいて、ぼくのことを見たことない人はモグりですね〜」とにこにこ。うーん、確かに、超目立つ……。青と白のボーダーの先生をみたらラッキー、という噂もありますね。吉祥寺に来たらキョロキョロしてみてください!

西荻で心に残ったのは、エッセイスト・平松洋子さんが教えてくださった、お惣菜の「ひらた」さん。東京女子大に近く、小さなショーケース一つだけの、本当に小さなお惣菜やさんです。その中には、大きなおにぎりやひじきの煮物、たまごやきなどがそっと並んでいて、「これは絶対においしい!」と取材交渉をしてみるものの、あまり慣れてないから……と戸惑うおばあさん。怪しいものではなく……と取材交渉を続けたら、「とりあえずお茶飲めば?」となぜかおうちにあげていただくことに。毎日、おかあさんからお弁当を受け取るみたいに、ここのお惣菜を買いにくる大学生の男の子の話。ここの味が気に入り、上京して以来ずっと通い続ける女の子を、本当の娘のように思っている話。こたつでお茶をいただきながら、おばあさんからぽつぽつ出てくる話に涙、涙……。結局取材を受けてくださったひらたさんは、誌面でとっておきの笑顔を見せてくださっています。ぜひ見てみてくださいね。

そんなこんなで長かった吉祥寺・西荻取材。取材させていただいたみなさまの温かい心をひしひしと感じ、終わる頃にはすっかり私も街のファンに。新しく好きな場所を発見させてくれてありがとう、Hanako。

編集担当・真田奈奈