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ごあいさつ 2014年11月20日 From Editors

 

ごあいさつ
2014年11月20日 From Editors

朝晩がずいぶんと冷え込んできました。
窓から差し込む朝日の角度や、
日暮れから夜の闇が訪れるまでの早さにも、
少しずつ冬の気配を感じます。
街を歩けば、気の早いクリスマスソングも
ちらほらと聴こえてきます。
あっという間に2014年も残りわずか。
1年の早いことといったらありません…! 
毎年のことながら、なんだか、
あわあわしてしまうこの時季です。

今月お届けするクウネルは「今日のさじ加減」。
”うちの味”、家庭料理の特集を中心に、
「食べる」にまつわる話題を集めた1冊です。

あたりまえのことですが、
”うちの味”は、家ごとにそれぞれ違います。
親から子へ、孫へ。味のかなめは守りつつ、
友人や料理の本などから得た新たな工夫も加わり、
その家の”いま”にあわせて、
少しずつ変化しながら受け継がれていく。
さらには台所に立つ人の心持ちや体調、
その日のちょっとしたさじ加減によって、
作り慣れたメニューでもできあがりが変わります。
かけがえのない味なのに、自由で軽やか。
だからこそ面白いなぁと感じます。

スタイリストの高橋みどりさんが訪ねたのは、
福島県・会津田島の猪股良子さんとそのご家族です。
年にいちどのお祭りの数日間、
離れて暮らす子どもや孫、親戚たちが集まって、
良子さんの采配のもと、三度の食事をともにしながら、
客人などにふるまう祭り料理の支度に精をだす。
その台所と食卓を追いかけながら感じたのは、
おおらかな母の味に支えられ育まれた、家族の絆の深さでした。

ぴかぴかの女子大学生・樋口理沙さんには、
祖母仕込みの料理の腕と自身のひらめきを組み合わせた
お弁当をずらりと披露してもらいました。
弁当箱に美しくおかずを詰める慣れた手つき。
取材中、スタッフ一同が「ホントに二十歳?」と
何度も尋ねずにはいられなかったという料理上手さんの登場です。

熊本に暮らす細川亜衣さんには、
「だご」を使った料理の数々を教わりました。
だごは熊本の言葉で「だんご」のこと。
亜衣さんは、粉と水を捏ねてちぎって作るこれを、
郷土の味である「だご汁」のみならず、
グラタン、スープ、中華風の和えものに…と、
さまざまな”うちの味”に活躍させています。
作り方は本当に簡単で、とびきりおいしい。
ぜひみなさんも作ってみてください。

二十歳の頃に書きためていた自筆のレシピノートから、
いちごのチーズケーキを作ってくれたのは、
料理家の高山なおみさん。
その味は、誰かのために料理を作る喜びを知り、
料理の道に進むきっかけになったある経験と、
しっかと結びついているのだそうです。

そのほか、
冬になると無性に食べたくなるわが家の煮込み料理や、
ローストチキンの上手な焼き方さばき方、
秋田の人が短い秋を楽しむ「なべっこ遠足」、
喜び溢れる絵を描き続けた画家・塔本シスコの人生と作品など。

そしてそして。恒例の年末のおまけ、
2015年版の「クウネルカレンダー」もついています。
今回は「さかさま」をテーマにした12のイラストレーション。
クウネルくんが密かに楽しむ「さかさま」のあれこれ。
眺めていると、見慣れた日常の風景が、
ちょっと変わって見えるかもしれませんよ。

2014年11月20日

戸田 史

クウネル No. 71

今日のさじ加減。

815円 — 2014.11.20
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クウネル No. 71 —『今日のさじ加減。』

紙版

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