マガジンワールド


第66回 マドロス陽一の写真便り その16 何を書こうかなぁと考えながら、とりあえず目の前のことや頭の中のことを写真を撮るように書いてみる


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僕はカメラマンのマドロス陽一こと長野陽一と申します。この度、5冊目の新刊『長野陽一の美味しいポートレイト』(HeHe) という料理の写真集を出版します。その中にはku:nelで撮り続けてきた料理写真もたくさん掲載されています。それらは美味しさだけではなく、料理を通して取材対象者の暮らしやストーリーを伝える写真たちです。島々のポートレイトを撮るように料理も撮り続けてきました。そして料理写真はポートレイトだと考えました。それを“美味しいポートレイト”と名付けます。ここでは旅した島で見たこと感じたことや、写真の話をしたいと思っています。

http://yoichinagano.com/

 

第66回
マドロス陽一の写真便りその16
何を書こうかなぁと考えながら、とりあえず目の前のことや頭の中のことを写真を撮るように書いてみる

マガジンハウスの地下にあるCスタジオでの撮影を終え、そのままエレベーターで4階へ上がり、編集部の机を借りてこの原稿を書いています。夕方と呼ぶにはまだ少し早い時間だけれど、お腹が減った。。。

今晩、何を食べようか、または何が食べたいのか、を考えるといつも思い浮かぶ料理があることを、この原稿を書きながら気がついたので、記しておこうと思う。
その料理は焼きそばだ。一番好きな料理が焼きそばと言うわけではないが、一日一度、焼きそば、それも大分の日田焼きそばのことを思い出している。残念ながらここ銀座では食べることが出来ない(と思う)ので、編集部の窓から見える銀座の青みがかったビルを眺め、日田焼きそばに思いを馳せよう。

日田焼きそばは鉄板で麺が軽く焦げるくらいに焼き、ソースで味付けする。具はもやしとねぎ、それに細く切った豚肉。特にもやしのパリパリした食感が特徴的な硬めの焼きそばだ。

地元福岡のお隣、大分には「想夫恋」という日田焼きそばのチェーン店がある。そこから独立した「阿羅漢」というお店が昔から実家の近所、国道3号線バイパス沿いのさびれたレストラン街にあった。ラーメン店やファミリーレストラン、カフェなどが経営難で次々と入れ替わっていく中、「阿羅漢」だけは変わらず営業を続けている。実家に帰るとまずは「阿羅漢」へ走る。焼きそばに生卵を落とし、紅しょうがをのせて、軽くお茶碗に盛ったご飯といっしょに食べるのが好きだ。

何が食べたいか?
1日のどこかで必ず食事のことを考える。だとすると30年以上は日田焼きそばのことを考えていることになる。なぜいつも思い出すのか、原稿を書きながら考えるも、毎日繰り返し思い出すことなど他にも沢山ある。



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平成27年3月20日
マドロス陽一
 

浜松市にある写真家・映画監督の若木信吾さんの書店『BOOKS AND PRINTS』にて、写真集『長野陽一の美味しいポートレイト』(HeHe)のトークイベントを開催します。
[日時]4月5日(日) 15:00〜17:00 [場所]KAGIYAビル4Fギャラリー  [料金](予約)1500円 (当日)2000円
コーヒー1杯付 詳細はHPへ