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第9回 ハローマイフレンド


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僕はカメラマンのマドロス陽一こと長野陽一と申します。この度、5冊目の新刊『長野陽一の美味しいポートレイト』(HeHe) という料理の写真集を出版します。その中にはku:nelで撮り続けてきた料理写真もたくさん掲載されています。それらは美味しさだけではなく、料理を通して取材対象者の暮らしやストーリーを伝える写真たちです。島々のポートレイトを撮るように料理も撮り続けてきました。そして料理写真はポートレイトだと考えました。それを“美味しいポートレイト”と名付けます。ここでは旅した島で見たこと感じたことや、写真の話をしたいと思っています。

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第9回
ハローマイフレンド

ハローマイフレンド

サッカー日本代表のW杯ドイツ大会出場が決まった!

マドロスは先日、クウネルのAD・オレさまと一緒にジーコジャパンを応援するため、バーレーンに行ってきました。6月3日、バーレーン国立競技場で行 われた2006ドイツワールドカップアジア最終予 選、日本代表対バーレーン代表の1泊4日観戦ツアーに参加したのです。

灼熱の首都・マナマに到着したその夜、試合は行われました。オレさまは白地に赤の大きな日の丸ハットに日本国旗をマントにしている。マドロスはアラブ の民族衣装を真似てジャパンブルーの布を頭 からかぶった。夕方、日本のサポーターは警察の誘導を受けツアーバスで試合会場へ。追い越しレーンを走る乗 用車の窓からはバーレーンの国旗が風になびき、国道沿いにはバー レーン選手達の大きな看板が建ち並ぶ。沿道には今宵の勝利を信じるこの国の人々が何や ら叫んでいる。まるでお祭り騒ぎだ。

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バスを降り護衛を受けながら会場入りしたけど、意外にも、バーレーンのサポーターは「ハローマイフレンド!」と人懐っこく手を振ってくれた。スタジアム内では聴 き慣れないペルシャ語の応援歌がスピーカーから割れた音で流れ、バーレーンの選手が現れるとその日集まった大観衆の声援が地響きのようになり響く。僕 たち日本人サポーターの席はスタジアムの隅っこで試合は観づらく、フィールドまでかなり距離があった。おまけにスタンドの照明が一部を除き消されるなど、軽ーくアウェーの洗礼をうけていました。

そんななか、現地時間の19時30分ついにキックオフ。前半:「やーい、へたくそ~」と小学生みたいに野次る、オレさま。後半:「集中!集中!」監督気分で大声を張り上げたあげく、喉を痛めたマドロス。そして試合終了、結果はみなさまご存知のとおり。

帰りも警察の誘導を受けツアーバスでホテルへ。行きと同じように追い越しレーンを走る乗用車の窓には国旗がなびいていたが、なんとそれは日の丸だった。バーレーンにとってはW杯初出場を賭けた大一番の直後で、敗戦のショックは大きかったはずなのに。その後も沿道で日本の国旗を振るバーレーンの人々が目についた。でもあの日の丸はいったいどこで買ったんだろう? なんて思いながら、どうして悔しがらないのか、この国は友好的な人々が多いのか、なんだか不思議な気分だった。ひょっとしたら、ただ騒ぎたいだけだったのかしら。

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