マガジンワールド


From Editors No. 799 フロム エディターズ

From Editors 1

ダチョウ倶楽部とアントニオ猪木。大人のモデルケースとして、どう?

「大人になるには?」。今回の特集が決まったとき、真っ先に思い浮かんだのがダチョウ倶楽部とプロレスのことだった。なぜなぜ? と思う方も多いと思うので、順を追って説明します。いや、させてください。

まず、ダチョウ倶楽部。熱々おでん、熱湯風呂、大型送風機……。目の前に明らかな”困難”が立ちはだかる。「押すなよ、絶対に押すなよ」「どうぞ、どうぞ」。彼らはいつだって、その困難に粛々と立ち向かう。「あちちち!」「殺す気か」とお約束のリアクションを取った後に、「喜んでいただけましたか?」と一言。まさに、一糸乱れぬ名人芸。逆風に立ち向かい、自分を見失わないダチョウ、その姿は大人といって差し支えないだろう。

そして、プロレス。全盛期のアントニオ猪木の闘い方は”風車の理論”と呼ばれた。相手の技を受けまくり、最後の最後に必殺技を極める。耐えに耐え、敵の攻撃を自らの力に変えて一気に解き放つのだ。相手の良さを引き出したうえで勝利するのが一流のプロレスラー。若い頃は攻撃一辺倒になりがちだからこそ、時に人を立て進んで”受け身”を取るプロレスラーに、大人になるためのヒントがきっとある!

以上のように、大人についての考え方は様々でしょう。なので、今回の特集は、編集部のスタッフみんなで知恵を出し合い、多種多様な視点から「大人になるための100の方法」を考えてみました。もちろん満点を目指す必要はないですよ。好きなところから実践してください!

山口淳(本誌担当編集)


From Editors 2

出鼻をくじくインタビュー。欧米に”大人”はいない?

この特集の取材は、<S/DOUBLE>代表のショーン・ステューシーさんのインタビューから始まりました。いきなり大きな質問をぶつけてみる。「ショーンさん、大人って、何だと思いますか?」すると言葉が通じないのです。僕が英語を話せない、ということではありません。ショーンさんはこう言います。

「日本語の”大人”にあたる言葉自体、英語にはないんですよ。だって君が言っているのは”adult”という意味ではないでしょ?」
これは衝撃でした。”大人になりたい”なんて考え方は、欧米人にはない。むしろ世界のどの国にもなく、日本人だけが理想として思い描いているのか。

ショーンさんはさらに続けます。

「君くらいの年齢の男が、”大人とは?”って考えていること自体が問題かもね。自分がない、というように思われてしまうから」
だとしたら、この特集はいったい何なのか!? 何のためにやるんだ?? 考え抜いて、いろいろなコンテンツを作り上げた今号。たくさんの大人に会いました。僕の中では、この2人の言葉が「大人になる」ということをどう捉えればいいのか、ひとつの考え方を教えてくれたように思います。

ひとりは写真家・石川直樹さん。冒険し続ける理由を聞いた答えが、「目の前の世界がこれでもかと広がる」から。もうひとりはリリー・フランキーさん。「よい大人ってのは、”子供のプロ”。自分美意識を追求して、なんとかなっている人」つまり、いろんなことを考えて、経験して、視野を広げて、その上で自分なりに”これだ!”と思う何かに力を注げるようになること。

この号ではとにかくたくさんの視点や、たくさんの知恵、たくさんの人の話をじっくり詰め込みました。ひと通り読んで、その上で「これだ!」なんていう何かを見つけてほしい、なんて思うけど、手前味噌な感じで何だか大人げないですかね。

榎本健太(本誌担当編集)