マガジンワールド


From Editors 1 No. 811 “アン・ファッション”は 僕らの毎日に欠かせない!?

From Editors 1

“アン・ファッション”は
僕らの毎日に欠かせない!?
ファッション特集なのに“アン・ファッション”ってどういうこと? 疑問に思う読者も多いかもしれない。正直に言おう。テーマが決まったとき、僕らも最初は戸惑いました。しかも、英語には“unfashion”という単語はないというではないか。ちなみに、“unfashionable=時代遅れの”という単語はあるけど、今回の特集で考えるのはもちろん“unfashionable”のことではない。

今回の特集の大きなきっかけになったのは一冊の写真集。2000年に出た『(un)FASHION』がそれだ。フランスの煙突掃除人、フィジーの軍事警察官、化粧回し姿の力士、ポンチョをまとったエクアドルの老人などなど、この一冊には生活と密接に繋がった様々な“スタイル”の写真が縦横無尽に収められている。中には、サッカーのブラジル代表のユニフォームを着てライフル銃を手にした少年の写真もあったりする。キャプションは一切なく、何を感じるかは受け手に委ねられているのだ。「着飾ることの意味」「ファッションの境界線」を問いかけてくるようではあるが、モヤモヤとしたものが残ってしょうがない。ただ、自分なりに“アン・ファッション”と対峙できたら「何か大切なことが見えてくる」という確信はある。

ならば、途方に暮れるのではなく、“先輩”たちに会っていろんな意見を聞こう。ということで、栗野宏文さん、都築響一さん、ウミット・ベナンさん、菊地成孔さん、加賀美健さん、浅野忠信さん、小野塚秋良さん、そして木村カエラさんに『(un)FASHION』から感じ得ること、自分にとっての「ファッション/アン・ファッション」をじっくりと聞いてみました。それぞれの話の“核”は濃厚で興味深いのでぜひ本誌98ページからを読んでいただくとして、アン・ファッションを考えることは“自分のスタイル”を見定めることに繋がると気付くことができました。

なんて、難しい話だけの特集ではありません。ワーク、ユニフォーム、ミリタリー、スポーツ、アウトドア、エスニック。思えば、僕らの毎日には“ファッションが出自ではないもの=アン・ファッション”なアイテムが欠かせない。MA-1だって、ハンティングジャケットだって、源流を辿ればアン・ファッションなのだ。特集では図録形式で、この秋冬へ向けたアン・ファッションなアイテムを吟味して選んでみました。物欲に即応する品々ばかりです!

最後に、“(un)”はファッションを否定する意味ではないのです。“アン・ファッション”は、ファッションをもっと自分に引き寄せるための言葉になるはず!

山口淳(本誌担当編集)
 
本日のマイ・アンファッション・アイテム。迷彩柄のトートバッグとドイツ軍のトレーニングシューズ、ジャーマントレーナーをアレンジしたスニーカーです。
本日のマイ・アンファッション・アイテム。迷彩柄のトートバッグとドイツ軍のトレーニングシューズ、ジャーマントレーナーをアレンジしたスニーカーです。