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From Editors 1 No. 833 小噺をひとつ……。

From Editors 1

小噺をひとつ……。
ジャズと落語と申しますと、古今亭志ん朝師匠が『セロニアス・モンク ラウンド・アバウト・ミッドナイト』なんて本の中で、実父であり師匠の古今亭志ん生の名を挙げて、こんなことを言っておられます。
「モンクは、志ん生だね」と。
その心はってぇと、二人とも“フラ”がある、と。この“フラ”ってのは「声音とか、口調とか、顔から受ける印象とかで、同じことを言っても何かおかしい、そういう雰囲気を持ってる人」をさして“あの人はフラがあるね”、なんて言う。それが2人にはあって、特に志ん生なんてその“フラ”のかたまりだって、そういうワケです。そんな風にジャズがお好きだった志ん朝師匠は、同じ本で谷中の『シャルマン』というジャズバーに毎晩のように通っていたともおっしゃっております。
志ん朝師匠の他にも、ジャズが好きな落語家さんってのは多いもんで、今号では立川志の輔師匠も、ジャズと落語の両方についてお話ししてくれてます。またその逆で、ジャズミュージシャンの山下洋輔師匠も、その両方についてお話してくれったってんだから、ありがてえ。ジャズと落語ってのは、似てるかどうかは別としても、きっと遠からず近い所にある気がするもんなんでゲスな。

幸い、あたしたちはジャズと落語にすぐアクセスできる素晴らしい世の中に暮らしております。例えば「浅草演芸ホール」ある浅草にも、「らくごカフェ」のある神保町にも、いいジャズ喫茶やレコードショップといった“ジャズ屋”がございます。すると、こんな環境を使わない手はございませんと、こうなるわけです。

え? じゃぁなにがキッカケになんだって? そりゃあ今回の本誌を読んで、「じゃァ、ずっと聞いてこなかったけど、ちょいと試してみようかね」って、そうなってもらえれば、コレ幸いってそういう噺なんでゲスよ。
(なぁんて落語っぽい感じに書きたくなっちゃうくらいに面白い落語、そしてジャズ! 聞かないなんてもったいないよ!)

岩渕大介(本誌担当編集)
 
 
『セロニアス・モンク ラウンド・アバウト・ミッドナイト』。古今亭志ん朝師匠をはじめ、総勢15名がモンクについて語る一冊。
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立川志の輔師匠が一番始めに買ったジャズ、ジョン・コルトレーンの『A Love Supreme』。若き日の師匠にはほろ苦い思い出が。
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山下洋輔さんのスタジオ撮影風景。ひじ打ち、ゲンコツ奏法には鳥肌立ちまくりでした!
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