マガジンワールド

From Editors No. 20 フロム エディターズ 2

From Editors 2

パンにブドウを入れる理由。
「パンには入れるべきフルーツと、そうではないフルーツがあるんですよ」。
〈トシオークデュパン〉での早朝取材。話をしながらも作業の手を止めない川瀬シェフ。発酵して焼くばかりになったコンプレの生地に薄刃のナイフでシュッシュッと切れ目を入れながら、そんな言葉を投げられた。
「たとえば『このパンはレーズンが入っているからワインに合うね』と言われるんですけど、逆なんです。ワインにあわせるためにブドウや木の実を入れるんです」。
「パン生地にマンゴを入れたら、それはヴィエノワズリにやるべきだとフランスの師匠に怒られました。ブリオッシュに入れればいい、と」。
日本でも「パン食」は十分に浸透しているように思えるけれど、フランスのパン文化はまだ理解されていない部分もあるんです。と川瀬シェフ。ひとくちに「パン」といっても、フランスのブーランジュリーには食事のためのパンと軽食のためのパンが厳然としてあり、食事のパンは料理にあうよう、そして何よりワインにあうように作るもの。一方の軽食のパンは、クロワッサンやブリオッシュ、ヴィエノワーズと呼ばれるミルクパンなど、これらはショコラやフルーツなどを自在に入れるお菓子のようなもの。「食後にレーズンやイチジク入りのパンを出すのは、ワインに合わせるために作られたパンだからなんです」。
食事といえばワインとともにある国の歴史あるしきたり。もちろん、好きなときに好きなパンを好きに選んで食べればよいのだけれど、そんな話も聞けば腑に落ちる。パンを味わう愉しみがひとつ深まりそうだ。
井狩由貴(本誌編集部)
 
生地と具との相性にもこだわったラインナップ。生地だけで9~10種が揃う〈トシオークデュパン〉の店頭。
生地と具との相性にもこだわったパンが並ぶ〈トシオークデュパン〉の店頭。


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幸せなパンの話。

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