マガジンワールド


From Editors No. 34 フロム エディターズ 1

From Editors 1

小さな旅の気分でローカルに愛されるカフェへ。
横浜から京浜急行と路線バスを乗り継ぎ、三浦半島の東京湾側を南へ。国道沿いのバス停からさらに海岸線を辿った先の、緑に囲まれた小さな海岸に〈かねよ食堂〉はありました。祖父の代から続く漁師小屋…といっても結構広い建物ですが、そこをDIYでカフェに。サーフボードや貝のオブジェなどが置かれたウッディな空間にはボサノヴァが流れ、どこかの島にいるかのようなスロウな空気に満ちています。祖父と父は漁師というオーナーは、自身も家業の漁師を引き継ぎ、カフェを営みつつ浜から船を出す。訪れた日のランチは獲れたてのメバルとトマトの冷製パスタや釜揚げシラスのピザなど。昼下がり、キッチンの活気が伝わる屋内で、あるいは木漏れ日の下から水平線を望むデッキで、お客たちはお茶や食事をしながら思い思いの時間を過ごしている。自然豊かなこの土地の食文化や海の営みを伝えて行きたいというオーナーの思いが形になり、人々が集まり交われる場所になっている様子はとても素敵でした。

そんな海辺のカフェを含め、今回の特集では、20年、30年と続く老舗から、新しいカルチャーの潮流を感じるカフェ、さらにはカフェマニアが選んだ47都道府県別カルチャーのあるカフェまで、多くの店を紹介しています。共通しているのは、ローカルの人たちに愛されながら街の拠点となり、なごやかな時間とともに時代や文化を伝えていること。小さな旅をするように、ぜひ出かけてみてください。

井狩由貴(本誌編集部)
 
細いじゃり道を抜け、緑がこんもりと繁る先に「かねよ食堂」の看板が見えてくる。
細いじゃり道を抜け、緑がこんもりと繁る先に「かねよ食堂」の看板が見えてくる。
目の前は遠浅の海。水平線近くにゆったりと進む客船も。手前の船にはカサゴやメバルを獲る網が。
目の前は遠浅の海。水平線近くにゆったりと進む客船も。手前の船にはカサゴやメバルを獲る網が。