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Airbnbで楽しむ、ニッポンローカルの旅01小さな半島の港まちへ #002

提供:Airbnb

狭い路地と商店街を散策。まちの日常に入り込む

Airbnbに滞在することで、出会える旅の魅力を紹介していきます。
第1回目、山口県で山本写真機店を営む、
カメラマンの山本陽介さんをゲストに向かったのは、
神奈川県の端っこにある、小さな半島の港まち。

出版とゲストハウスというユニークな形態をとる、ホストのシュンさんとミミさん夫妻。いつもゲストには周辺を案内するというミミさんが、真鶴には、独自のまちづくり条例「美の基準」があることを教えてくれた。

これは、まちの豊かな風景をこの先も残していこうと1993年に制定された69のキーワードからなる条例のこと。このキーワードを探しながらまちを歩くのが楽しいとミミさんは言う。山本さんも「この1ページだけでもいいことがたくさん書いてある」と見入っていた。

美の基準は、土地利用規制規準、建設行為の手続きと並ぶまちづくり条例のひとつ。1980年代後半、リゾート法施行による開発圧力への反発をきっかけに、豊かな風景を残していくために制定された。「静かな背戸」「小さな人だまり」「実のなる木」など、キーワードそのものが独創的な美しさをもつ。

ホストになってから今日まで、ミミさんがまち歩きを続けてきたのは、真鶴のよさが、外からきた一見さんからすると見落としてしまいそうなところにあるからだという。たしかに、こうしてレクチャーしてもらわなければ、見つけることすらできない風景がたくさんありそうだ。

今回は、より真鶴らしさを感じるために真鶴コースを案内してもらうことに。まちの全景を見たいという山本さんのリクエストもあり、まずは高台をめざすことにした。

背戸道(せとみち)は、公道とも私道とも区別がつかない細い路地のこと。見つけると、つい歩いてみたくなる風情ある道ばかり。
真鶴は高低差のあるまち。遠くに感じた港や高台も、坂道や階段を上り下りするうちに意外なほど早くたどり着ける。

リスティングから15分ほどで、まち全体を見渡せる高台に到着。
山本さんは、写真を撮る人の視点に立ってこんなことを話してくれた。

「細い路地を抜けたら広い道路があって、坂を下りたら海がある。真鶴は、歩くのに楽しい地形ですね。写真を撮る人ならなおさら歩きたくなるまちだと思います。とくにこのビューポイント!僕がここで撮った写真をSNSにアップしたら、『ここはどこにあるんだ?』って探す人も出てくるんじゃないかな。実は平坦な道って、撮っていたら飽きるんですよ。ここは飽きない。おもしろいところだと思います」

「こうして見ると家と家とがお互い気遣いあって建てられているのがわかるんですよ」とミミさん。どの家からも月が見えるようにというのも、美の基準のひとつ。

生まれも育ちも違うのに、まちに対して同じような感想を抱く人が多いのも、真鶴の特徴だとミミさん。

「『前に訪れたあのまちに似てる』とか、何かを思い起こさせる風景みたいなんです。港に反応する人もいれば、まち全体の雰囲気がそうだという人もいます。ゲストの話を聞いていると、古き良きものにリンクする何かがあるのかなって。私も、タイのトランというまちで暮らしていたときのことを思い出すんですよ。トランにはどこにいても話しかけて受け入れてくれるコミュニティがいくつもあったのですが、今は真鶴が私にとってそんな感じになっていて。あの頃みたいだなぁって」

真鶴のまちのことを熱心に教えてくれるミミさんの、ナチュラルな表情を引き出す山本さん。
歩いていると、こんなユニークな風景にも遭遇。

港まで下りたところで、明日の朝食でいただく干物を購入することに。ミミさん行きつけの干物屋のひとつ〈高橋水産〉へ。真鶴の他の干物屋と異なるのは地の魚のみを使うことと、マニュアルは作らず、魚それぞれの味わいを生かす味つけと干し方を徹底している。山本さんは迷った挙句、さばみりんに決定。

店主たったひとりで製造を行う。「このあたりでは塩を利かせるのが相場ですが、僕はそれぞれ魚の状態に合わせて味つけをしています」
味見は無料。数種類を食べ比べ、気に入った干物を選ぶことができる。こんなに小さな干物でもふんわりとジューシー。
「干物に対する愛が滲み出ていて感動しましたね」と山本さん。

最後はメインストリートの大道商店街へ。鮮魚店、精肉店、八百屋など個人経営の店が軒を連ねる。

撮影をお願いすると頭のてぬぐいをわざわざ巻き直してくれた。

和菓子屋〈御菓子司やない〉でおやつを調達。ミミさんが最近ハマっているのは、求肥にくるみを練り込み、周りをあんでつつんだくるみもち。この日はあいにく売り切れだったため、目の前で焼いてくれる大判焼きを購入。できたては格別。山本さんも撮影の手が止まるほど夢中でたいらげていた。

大判焼きは毎年10月から6月頃までの期間限定で食べられる。夏には、大判焼きに代わりかき氷が登場。
法事でお供えするため「盛り団子」。和菓子でまちの暮らしを彩り、支えている。

真鶴のさまざまな表情を味わうこと約2時間。日も沈み、お腹も空いてきたのでミミさんに夕飯を食べるお店を相談すると、リーズナブルで地元のお客さんの行きつけだという〈冨士食堂〉をおすすめしてもらった。二代目夫婦が切り盛りする店内は、地元のお客さんで大にぎわい。一見さんに対しても「どこからきたの?」と店主が気さくに話しかけてくれることもあり、これまでにたくさんのゲストを紹介してきた。

いろいろ魚のミックスフライ。魚料理だけでなく、サラダから締めの一杯まで、手頃な価格で楽しめる。
店主夫妻。キープされたボトルの数が人気の印。

今日1日を振り返り、人々の日常を垣間見ることができて新鮮だったと山本さん。

「今までなら知らない土地を旅するときって、基本的に名所に行くというのが多かったんです。非現実感を味わう旅っていうんですかね。『これがウワサのあれかぁ』という旅。今日みたいに誰かの日常を歩く感じは初です。ミミさんとシュンさんがこの土地をすごく大事にしていることが伝わってきました」

ミミさんは、こうしたゲストとの交流があったからこそ、自分たちとまちとの結びつきが強くなったと話す。

「エアビーを始めてゲストとまち歩きをするようになったことで、まちの皆さんに顔を覚えてもらえたし、知り合うきっかけができました。もし、私たち夫婦だけだったらこんなに頻繁にまちを歩かなかったと思うんです。ゲストが喜んでくれるのもこのまちがあるから。本当に真鶴に生かされているなって思います」

photo:yosuke yamamoto text:hiromi kajiyama

Guest Profile
山本陽介

やまもと・ようすけ●山本写真機店店主。写真と写真屋の魅力を伝えるため、写真を軸にしたさまざまなイベントを開催する。2005年より開催しているおもしろ写真教室「cheeeese!!」は11年目に突入した。
http://yamamotocamera.jp

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