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Airbnbで楽しむ、ニッポンローカルの旅02島のチャンプル文化を訪ねて #003

提供:Airbnb

地元民しか知らない、巨大な奇岩が美しい海岸へ。

Airbnbに滞在することで、出会える旅の魅力を紹介していきます。
第2回目にイラストレーターの塩川いづみさんと向かったのは、
古い城跡や焼き物の里として知られる沖縄の読谷村。
彼女が感じたこの地の風景もスケッチしてもらいました。

目覚めの朝食は、南国フルーツと親志豆腐、そして水円の自家製パンと、すべて昨日購入したこのまちのローカルフード。カニエステルやグミなど、初めて食べるフルーツの食感を楽しみながら、塩川さんはスケッチを始めた。
「この島バナナ、普段食べているバナナの半分ほどのサイズなのに、すごく濃厚でおいしい。食べたことのないものを初めて食べるのも楽しいけれど、普段食べているものとの違いを感じることのほうが、何か強く印象に残る気がします」

ボリュームたっぷりの親志豆腐も完食した私たちは、散策できる海岸を相談すると、「地元の人しかいない」とミッチーさんが話す、渡具知ビーチへと向かうことにした。

干潮時は水位がとても低く、海水浴よりも潮溜りでの生物の観察や潮干狩りが楽しそうな渡具知ビーチ。ほかにも、緑が生い茂った散策路を抜けると大きな奇岩が立ち並ぶ入り江もあった。

「僕らは海ではよくシュノーケリングをやりますね。モリで魚突きをやって、穫った魚は焼いて食べたり。50メートルぐらい先まで泳いでいくと、エイに遭遇することもありますよ」

海での遊び方をミッチーさんに聞きながら到着した読谷村の渡具知ビーチは、とても静かで穏やかだった。ちょうど潮が引いている時に訪れた私たちは浅瀬をゆっくり歩きながら、海上から生える奇岩を目指した。

風や波の侵食により、長い年月をかけてさまざまなかたちになっていく奇岩は、琉球石灰岩と呼ばれ、渡具知ビーチにもある。これまで見た景色とはまた違った沖縄がそこに広がっていた。

遠い水平線を眺めながら想像する。海の彼方には楽園があって、そこには豊穣や幸福をもたらす神々が住んでいる。その楽園は、ニライカナイ。海からさまざまな文化を受け入れ、多くの営みを授かってきた沖縄にはこのニライカナイという信仰のカタチがある。

最後に、向かったのは〈やちむんの里〉。沖縄には海から持ち込まれた文化のひとつに陶磁器がある。1600年頃、当時の琉球王国はアジアを中心としたさまざまな国と交易を行っていた。その交易によって持ち込まれた陶磁器が、後の沖縄の焼き物の技術を発展させていく。それが現在、やちむんと呼ばれる焼き物だ。

やちむんの里の奥、北窯の共同売店。4名の親方、松田米司氏、松田共司氏、宮城正享氏、與那原政守氏それぞれの工房で作陶された焼き物が購入できる。

読谷村の山中にはやちむんの里がある。1974年に人間国宝の故・金城次郎氏が那覇市より読谷村へ窯を移したことで発展したやちむんの里は、大きく分けて、読谷壺屋焼、読谷山焼、読谷山焼北窯の3つの窯からなる。

「家族が沖縄に出張に行ったときにやちむんを買ってきてくれたので、普段の食卓で使っていました。今回、直接窯を見ることができるのは本当に楽しみ」

おおらかで素朴な風合いが特徴のやちむんは、塩川さんも愛用している。私たちは北窯を訪れてみた。

北窯の敷地内の奥の煙突から煙が勢いよく出ている。その煙の出ている場所へと向かってみると、沖縄県内でも最大という北窯の登り窯に出くわした。傾斜を利用し、階段状に13の焼成室を築いた登り窯。ちょうどこの日は窯焚きしていたのだ。

13ある焼成室の一番下にある焚き口に薪をくべると、その炎の熱が段々と登り、最上部へ。各焼成室にも薪入れのための小口があり、温度調整をしながら、約4日間、炎を絶やさず焼きしめる。

「土は沖縄のものを使います。土にも性格があって、お皿はできるけど壺をつくるには使えない土もある。頭はいいけどいじわるな土、優しい土もあるし、土は人間も一緒。おもしろいよね」

そう教えてくれた男性は、この北窯で作陶する松田共司さん。読谷村生まれの松田さんは双子のお兄さんと共に1990年に北窯を開き、作陶を続けている。
「生素地を登り窯に入れて、約4日間焼いたら焼き物になる。なぜ土を焼いたら焼き物ができるのか? この道に進んで長いけれど、未だに不思議で仕方がないよ」

北窯の4工房のうちのひとつの親方である松田共司さん。松田さんの焼き物は、セレクトショップBEAMSが展開するレーベルBEAMS fennicaほか、全国各地のショップでも取り扱いされている。

「僕の高校で陶芸を教えに来てくださっていました? 僕、松田さんに教わった気がするんです。そのときこの北窯にもお邪魔しました」

松田さんと話しをしている最中にふいに思い出したミッチーさん。高校生の頃、選択科目で陶芸を専攻していたミッチーさんは、どうやら松田さんから陶芸を教わったらしい。それに対する松田さんの回答もまた「ああ、その高校なら教えに行っていたよ」

約6年ぶりの再会。うれしそうなミッチーさんに松田さんは言う。
「宿をしているの? 東京の芸大生がこの北窯に来るから、そのときの宿として紹介してあげたいな」

松田さんが作陶している現場の隅にある棚には、骨董品の古いやちむんも並んでいた。模様、色、形どれもさまざまに美しい。

「北のほうでつくられる焼き物は、熱が逃げないように焼き物の腰から口縁にかけて閉じていくものが多いんだけど、沖縄は気温が高いから、焼き物は大体口縁は広がっている。あと、沖縄の陶芸家は焼き物の空白部分を埋めるのが上手。ちょっとここが空いているなと思えば模様を描き足すし、侘び寂びの世界と反対に、沖縄の焼き物は全体的に元気がいいんだよ」

職人の深い実感と経験からくるお話は、聞いていて本当にワクワクする。湧水、薪、土など焼き物に必要な資源が豊富にあるというこの読谷村で、土づくりからはじまり、成形、削りや彩色まで、ひとつひとつすべて手作業で行っている松田さんには、職人の矜持がある。

北窯の売店で、松田さんの焼き物を購入した塩川さん。「その土地の記憶、自分が足を運んだ記録として手にしたいと思いました」

「昔はね、釉薬の原料もサンゴ礁を使っていたんだけど、時代とともにだんだんとれなくなって、今の原料は石灰岩に変わっていった。でも希望はある。土や火がある限り、地球がある限り、焼き物はできるから」

地球がある限り。この言葉に深く感銘を受けた私たちが北窯をあとにする頃、1泊2日のこの旅も終盤を迎えていた。

「今回はみなさんと一緒に沖縄を歩くことができて本当に楽しかったです。僕自身、知らなかった読谷を知ることもできました。リスティングのホストをすることは、これからの自分の人生において、何かインスピレーションにつながっていけたらいいなあと思います。と同時にホストとしてできる限りのことをしていきたい思いと、ゲストとホストの関係性はできる限りフラットであれたらいいなあとも思うんです。やがていつかはゲストとホストという名前も存在しなくなるぐらいに。うまく言えないですけど」

ホストであるミッチーさんの想いを受けて、ゲストの塩川さんは今回の旅をどう感じ、受け取ったのだろう。

今回の旅で塩川さんが絵のモチーフにし​たくなったもの、それはこの土地のパワーを感じたものでした。
「読谷村を歩きながら目にした赤色の土とシーサーもまた、とてもパワーがありました。振り返ってみると、生まれ育った長野や今住んでいる東京にはない印象的な“色”に出会う旅だったなと思います」

「おもしろかったです。Airbnbのリスティングは旅に合わせて身軽に借りることができて、自由なところがとてもいいなあと思いました。そのおかげで期待していた旅、観光地としてのお膳立てされた沖縄ではない、日常の沖縄に触れることができた気がします。何より今回の旅から家に持ち帰る感情は多様で、幅が広い、そんな感覚です」

沖縄から持ち帰った感情が今、塩川さんの日常にどう作用しているだろう。旅の醍醐味はその土地の日常に必ずある。だからきっとまた、旅に出る。

illustration:izumi shiokawa photo:yayoi arimoto text:nanae mizushima

Guest Profile
塩川いづみ

しおかわいづみ●イラストレーター。長野県生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒。広告、雑誌、商品などで活動するほか、展示会で作品の発表もしている。作品集に『between YOU&ME』(ELVIS PRESS)『3着の日記』(ひがしちか・前田ひさえと共著/土曜社)
http://shiokawaizumi.com

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