特別企画
奈々さん演じる「咲子」を探しに山口県・下松市に行ってみた!!


ⓒ2014 下松フィルム・コミッション

岡田奈々さんのファンであれば絶対見て欲しい映画が、今回、写真集にエッセイを寄稿してもらった長澤雅彦監督の映画「恋」だ。
伊藤洋三郎さん演じる昭男さんと岡田奈々さん演じる咲子さんのちょっぴりビターなラブ・ストーリー。詳しくは映画を見ていただきたいのだけど、今回の写真集「二度目の初恋」のアイドル時代から女優として着実にキャリアを積まれたからこそ、本当に難しい役どころをみごとにこなされているのだなあと思うと普通の人以上に奈々ファンの人は楽しめる映画です。

ⓒ2014 下松フィルム・コミッション
 この映画は、山口県下松市の「下松フィルム・コミッション(下松FC)」という下松から映画文化を発信していこうという動きのなかから生まれたもの。俳優陣の演技もさることながら、なにげなく映っている風景、街並みなども作品の魅力に一役買っていて、主人公二人が瀬戸内のおだやかな海を眺めながら、それぞれの思いをすれ違わせる(すれ違っちゃうんです、残念ながら)シーンは、やはり都会の街並みでも、海外の太陽さんさんのビーチでもなく、ここ瀬戸内のありふれているようで、ここでしか出会えない美しい景色のなかでこそ日本人の美しい精神性を叙情的に表現できているのだと思います。
本当にいい映画です。ぜひ見てください。


「下松市に行ってみたい」 一路、羽田から岩国へ。

 そんな映画「恋」の街を探訪したい、ということで、下松市に行ってみました。
 早朝の羽田空港。滑走路を見るとスターウォーズ仕様の飛行機が見えるなか、山口県岩国錦帯橋空港へ。1時間半ほどのフライトで岩国空港では「金魚ちょうちん」と山口県警のマスコット「ふくまるくん」がお出迎え。ロビーの花壇には地元の農業高校の実習作品が置かれているなんとも落ち着く快適な空港です。こちらでレンタカーを借りて下松市まで1時間強の道すがら、「錦帯橋」の文字を発見。なかなか本物を見る機会もない、とちょっと寄り道。訪問した時には桜はまだでしたが、川べりに植えられた桜が満開になったらさぞや見事な光景だろうと思いを馳せました。

 錦帯橋を堪能した後は、急いで下松市へ。取材に行くにあたり、「下松フィルム・コミッション」のS畑さんを訪ね「ザ・モール周南 星プラザ」へ。すると、S畑さんがくれたのが、映画「恋」のロケ地マップ。これは便利!!とばかりにいろいろ聞き、同じく下松FCのH田さんに教えていただいたお店などの説明を受ける。訪問すべきところ、食べるべきもの、非常に悩んだが、悩んでも時間が過ぎるばかり。えいや、とばかりにルートを決め、取材という名のロケ地ツアーが始まった。

 下松FCの入っている商業施設・星プラザから、およそ10分ほど。信号機の表示に「笠戸島入口」が見えて来る。
 笠戸島は「厳島の明神が笠を置いた」という伝説から名付けられた三日月形の小さな島で、島全体が瀬戸内海国立公園に指定される風光明媚な場所だ。島と街をつなぐ赤い橋・笠戸大橋を渡ると、そこはすでに笠戸島。島にある夕日岬をから海を眺めると、日本海とも太平洋とも違う穏やかな入江がなぜだか懐かしいようなセンチメンタルな気分にさせてくれる。

 

 夕日岬をあとにして今回訪れるスポットのなかでも拠点となる「国民宿舎大城(おおじょう)」へ到着。小高い丘に作られたおしゃれな作りの建物はただただすごい、と感じさせ、恐る恐る中へ入ってみる。「国民宿舎大城」へ来た目的のひとつが「ヒラメの食べくらべ」。調べたところによるとここ笠戸島は養殖ヒラメが有名で、その高い技術で養殖されたヒラメは身がプリプリ、淡白なれど上品な、まさにグルメを唸らせる味とのウワサ。かくして宿舎の2階に赴くと広いレストランは大にぎわい。地元の方、観光の方ともにみんな連れ立って順番を待っている。

 順番が来て席に案内されるとそこはオーシャンビュー。入江のドックに入っていく貨物船が波にたゆたいながら浮かんでいる。そんな海を前菜代わりにメインメニューを待っていると、やってきました「ヒラメの食べ比べ」。ヒラメはお造りと炙りの2種類。そこにもみじおろしにあさつき、紅蓼、わさびの4種類の薬味、そして醤油とポン酢があり、最後にヒラメの漬けまである。いったい何通りの食べ方を比べろというのかと悩んだが、まずはシンプルに刺身をポン酢で。白身魚の淡白だけれど、しっかりと噛み応えがある食感がポン酢にぴったり。次はわさびで醤油。もちろん美味い。ヒラメの漬けは初めて食べたが、これまた美味い。お茶漬けにしたらさらに美味しいかも、などと思ってみたり。まさにヒラメ食べ比べ戦国時代、群雄割拠で甲乙つけがたく両雄並び立って呉越同舟といった感じの一皿でした。


 しかし、そのあとに波乱があった。この「国民宿舎大城」のランチビュッフェ、一品頼んで、あとはビュッフェ形式となっていて、好きなものを自分で選んで好きなだけ食べられるシステム。どの料理も美味しかったのだが、その中に「ヒラメの酢味噌和え」というものがあった。この酢味噌和え、地元でよく食べられているものらしく、ヒラメとワカメを軽く酢味噌で和えている一品。なにげなく食べたのですが、これが口の中でなじみがよく、なんともほっとする味で、おかわりしてしまいしまた。いつもメニューにあるのかどうかわかりませんが、ヒラメの食べ比べをした方はぜひ酢味噌和えも食してください。

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