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食事革命 vol.4 白い砂糖を断つ。

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vol. 4 白い砂糖を断つ。

「このままの食事では、アスリートとしての武器にならない」

管理栄養士の石川三知さんにそう指摘され、僕は俄然やる気になった。食事についてもっと学ばなければという気持ちに火がついたのだ。

なにしろ昨シーズンは肩の脱臼、大腿屈筋群の負傷などのケガに悩まされ、思うようにパフォーマンスが発揮できなかった。今、食事でカラダの内側から変えなければ、コンディションは上がっていかないと実感したのだ。

2016年に入ってすぐ、僕はあることを試してみることにした。白い砂糖を一切口にしないことにしたのだ。

食事や栄養に関するさまざまな本を読んでいくうちに、白い砂糖がどれだけカラダによくない影響を与えるかが分かってきた。

まず、精製された砂糖は、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素をほとんど含まない空っぽのカロリーだということ。カロリーだけ取り込んでも、カラダに必須の栄養素が十分に補えなければ意味がない。

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甘いものが食べたくなったら果物など自然の甘みで摂る。

それ以上に恐ろしいのは、砂糖に低血糖症を引き起こすリスクがあるということ。砂糖の成分のショ糖は糖質の最小単位のブドウ糖と果糖が組み合わされたもの。構造がシンプルだけに分解や吸収のスピードが速い。ちなみに、同じ糖質でもでんぷんのように化学構造が複雑だと分解に手間がかかるので消化時間が長く、ゆっくりと吸収される。

さて、カラダに一気に吸収される砂糖は、高血糖状態を招く。すると膵臓からインスリンというホルモンが大量に分泌されて血糖値を下げようとする。そもそもインスリンは血液中の栄養素を細胞の中に取り込む役割を果たすのだが、必要以上に出ると急激に血糖値を下げてしまうという性質がある。

血糖値が一気に上がって一気に下がるというのは、カラダにとって最悪のことらしい。

[ 石川さんコメント ]

血糖値の急上昇や急降下はさまざまなカラダの変調を引き起こすきっかけになります。

血糖値の急降下=低血糖の状態では、脳やカラダに栄養素が供給されにくく、集中力が低下したり、疲労感を感じやすくなります。グリコーゲンが筋肉中に充塡される速度も落ちます。

また、精神面でもキレやすくなったり、うつの症状が出るといった報告もあるのです。

僕は子どもの頃から甘いものが大好物だった。日本ではケーキやクッキーなどを好んで食べていたし、イタリアに来てからはレストランで食事をすると必ず最後にドルチェをオーダー。ふだんも日本から届けてもらった饅頭や大福などをしょっちゅう口にしていた。

ついでに僕はコーヒー好きなのだが、そのコーヒーにも砂糖を入れていた。エスプレッソを飲むときはとくにどっさり。砂糖を入れなければ苦いだけでおいしくない、と感じていたのだ。

ケーキやクッキー、饅頭のあんこにはもちろん大量の砂糖が含まれている。僕はそれを毎日のように食べていた。一体、どれくらいの砂糖を口にしていたのだろう。その長年繰り返してきたルーティンを一切やめ、甘いものは、はちみつやフルーツなど自然のもので摂るようになった。コーヒーもブラック派に。

カラダと脳に
目に見えて変化が。

さて、1〜2か月も経った頃だろうか。僕のカラダにこんな変化が表れてきた。

まず、試合でのパフォーマンスの変化。90分間の試合中、疲労を感じにくくなり体力に余裕ができたような感覚を持った。2kg程度体重が落ち、カラダが軽くなり、キレもいい。素直に「調子がいい」と感じるようになったのだ。

子どもの頃からお腹をこわしやすかったのだが、不思議なことにこれも改善した。体質だからと諦めていたが、ここ最近は一度も下痢をしていない。

それだけではない。「脳が変わった」という実感がある。これまでと比べて集中力が全然違うのだ。今まではいいトレーニングをして、いい食事を食べて、いい睡眠をとってと、どんなに頑張って準備をしても、試合になるとカラダが重かったりキレがなかったり頭に靄がかかった状態になることが少なくなかった。

調子の悪かった昨シーズンはとくにそれを感じていて、試合前に「起きろ!」と自分で自分の顔をバンバン叩いていたりした。それがまったくなくなって、試合前も試合中も頭はクリアな状態。苦しい状況でもネガティブな考え方や不安を感じにくくなったのだ。

[ 石川さんコメント ]

精製された砂糖をやめた時点で血糖値の乱高下がなくなり、情緒が安定したり集中力が増した可能性は高いと思います。なおかつ、はちみつやフルーツでビタミン、ミネラルを摂ることでカラダの活性効率が上がったと考えられます。

もちろん、すべてが砂糖をやめたことが理由ではないかもしれない。でも、僕が感じている今の感覚は、食事がもたらしたものであることは間違いない、と思っている。


空っぽのカロリー
代謝に必要な栄養素を含まない食物から、カロリーだけを摂取すること。アルコールや一部の油脂も同様。
インスリン
血糖値を下げる唯一のホルモン。分泌のコントロールが利かなくなると糖尿病を発症する。
大量の砂糖
砂糖や菓子、また清涼飲料水や加工食品の砂糖を含めると、WHOの1日の砂糖摂取目標25gを軽く上回る。



YUTO NAGATOMO

●ながとも・ゆうと 小学校1年でサッカーを始め、東福岡高校、明治大学を経てFC東京でプロデビュー。2010年、イタリアに渡り、現在インテル・ミラノに所属。

構成/石飛カノ 撮影/中島慶子 監修/石川三知(Office LAC-U)