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食事革命 vol.7 油について考えてみた。

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vol. 7 油について考えてみた。

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僕の最近のお気に入り、アマニ油とココナツオイル。
撮影/長友佑都
これはまだ、僕が食事の変革をスタートする前のことだ。アウェイでの試合後、用意されたブッフェスタイルのメニューの中から、フライドチキンを選んでしまったことがある。

最初の僕の食事レポートでそれを知った管理栄養士の石川三知さんから、早速キツいツッコミが入ったことは、連載の3回目でお話しした通り。石川さん曰く、

「酸化したカラダに酸化した油脂を入れるのは、火に油を注ぐようなものですよ」

このことをもう少し詳しく解説しておこう。

運動で大量の酸素を体内に取り込むと、その一部が反応性の高い活性酸素に変換され、細胞が酸化する。持久力と瞬発力の両方が必要とされるサイドバックというポジションで90分の試合にフル出場したら、なおさらのことだ。

一方、油で調理された料理は時間が経つと酸化が進んで過酸化脂質が増える。この過酸化脂質も細胞を傷つけてしまう物質だ。しかも揚げ物などの高温調理では、そもそも油の一部が酸化されているというから、作り置きのフライドチキンなどまさにダブルパンチ。いや、もともと酸化されているカラダにさらに酸化が進む食べ物を取り込むわけだから、トリプルパンチだ。

もちろん、今はフライドチキンが用意されていても手を出すことはない。どんなタイミングにしてもだ。もし食べるとするなら、その場で揚げたてのもの以外は口にしないことが油料理の鉄則なのだ。

これは、一般の人も同様。活性酸素は運動だけでなく、ストレスによっても作り出される。仕事で過度のストレスを抱えている上に作り置きの唐揚げ弁当などを口にすると自らカラダを痛めつけているようなものなのだ。こうしたことから、僕は油脂に対する考え方を根本から改めることにした。

油脂の主成分である脂肪酸には、下の模式図のように多くの種類がある。ちょっとややこしいのだが、脂肪酸の分子構造は炭素と水素と酸素の3種類から成っていて、炭素の数やその繫がり方によって脂肪酸の種類が変わってくる。炭素の鎖が長いものを長鎖脂肪酸といって、日常的に口にしている油脂がこれ。

このうち、炭素が一重結合のみで構成されているのが飽和脂肪酸、二重結合のあるものが不飽和脂肪酸だ。前者を摂りすぎると心臓疾患のリスクが高まり、後者を積極的に摂ることでそのリスクが抑えられるといわれている。

オメガ3脂肪酸を
積極的に摂る理由。

さらに、不飽和脂肪酸にはオメガ3、6、9の3種類がある。3つの脂肪酸のうち、知らず知らずのうちに多く摂っているのがオメガ6。理由はサラダ油やドレッシング、マヨネーズなどにたっぷり含まれているからだ。外食を1回すれば十分すぎるほどの量が摂れてしまう。しかもオメガ6は摂りすぎると、アレルギーや炎症を引き起こすリスクが高まることも知られているのだ。

オメガ3は逆にアレルギーや炎症を抑制する効果がある。そこで、僕は日常的にオメガ3の脂肪酸を積極的に摂ることにしたのだ。自宅にはアマニ油を常備し、サラダなどにかけて口にしている。

さらに、ココナツオイルも毎日のように摂ることにした。こちらは炭素の鎖が中くらいの脂肪酸で、驚くほど吸収が早い。一般的な油の約5倍も早くエネルギーに変換されるという。これはカラダを動かす前に補給しない手はない。基本的に朝一番や午前中、コーヒーに入れるなどして摂るようにしている。

考えてみればイタリアに来てからというものオメガ6の脂肪酸はほとんど口にしていない。調理に使うのはもっぱらオメガ9のオリーブオイルだからだ。油脂もこうして勉強してみるとなかなか奥深い。

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脂肪酸は炭素の鎖の長さ、二重結合の有無、さらに二重結合の数などによって複雑に分類される。



過酸化脂質
活性酸素によって酸化された脂質のこと。老化や動脈硬化、がんなどの原因と考えられている。
不飽和脂肪酸
炭素の二重結合が1つのものを一価不飽和脂肪酸、2つ以上のものを多価不飽和脂肪酸という。
オメガ3、6、9
日本人はオメガ6の過剰摂取が問題視されていて、6を控えて3を増やすことが推奨されている。



YUTO NAGATOMO

●ながとも・ゆうと 小学校1年でサッカーを始め、東福岡高校、明治大学を経てFC東京でプロデビュー。現在インテル・ミラノに所属。2016/2017年のセリエAも開幕!

構成/石飛カノ 撮影/中島慶子 監修/石川三知(Office LAC-U)